ALSにおいて気管切開・人工呼吸管理はどの程度の期間になるのか。

  • 2014.03.18 Tuesday
  • 07:00
ALSの方の診療を行っていると、「気管切開・人工呼吸管理を行うか否かを決める」ための意思決定を支援する場面は避けて通ることは出来ません。

その中で、介護を担当するご家族からは「どの程度の期間」という質問が少なくありません。
最近は、呼吸理学療法やカフアシストの導入などで、肺炎の頻度が減少し、これまで治らないと思っていたレベルの肺炎が治るようになった印象を持っていました。

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ALS診療ガイドライン2013より
呼吸器装着後の生存についての国外からの報告はNPPV (noninvasive positive pressure ventilation)も含まれており、TPPV (tracheostomy positive pressure ventilation)のみのデータは乏しい.
本邦の全国調査では,TPPV 例の生存期間(平均49.1 カ月)はTPPV 非施行群(平均35.8 月)に比して有意に長かった.
(桃井浩樹,進藤政臣,柳澤信夫ら.本邦における筋萎縮性側索硬化症の病勢経過 −厚生省特定疾患神経変性疾患調査研究班調査より−.神経進歩 2004;48: 133-144. (b))
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当院のデータです(対象124人、TPPV施行群 30人、TPPV非施行群 94人)
対象者は、前の記事と同様で、300ヶ月を超える2ケースは除外しています。

罹病期間4
当院の生存期間はこの報告と比較すれば、かなり長期化していることがわかります。
当院のデータでも、TPPV施行群の方が有意に長いです。
当院が罹病期間などの「期間」を調査した場合、これまでの報告より長くなる傾向にあります。
このような報告は、専門病院や一般病院からの報告が主になります。
専門病院・一般病院と当院を比べると、
・在宅医療開始までに死亡してしまったケース(短期例)が、当院のデータに反映されない
・専門病院・一般病院では死亡まで追跡することが困難で、長期例が専門病院・一般病院に反映されない
ためと考えています。


TV期間

平均値、中央値ともに約7年です。
これまでTPPVを開始する際には、「5年間はやっていける準備はしましょう」と本人・家族にはお話していたのですが、これからは「7年間はやっていける準備はしましょう」と話さないといけないかと考えています。

家族介護者数
一方、TPPV施行群での同居している家族介護者数です。
他の疾患でも同様なのですが、とにかく家族介護者数「1」が多いのです。
家族介護者数「0」のお二人は、最終的に長期入院されています。

本人が希望すれば、TPPV導入することが可能な社会であって欲しいのですが、この家族介護者数では「公助」に頼らざるをえない現実もあります。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)の罹病期間

  • 2014.03.16 Sunday
  • 08:00
先日のケースカンファレンスで、「球麻痺先行型のALSの症状進行は早い」との話題が出て、先日の研修会で「上肢型の進行は遅いわけではありません」と話したことを合わせて、当院で診療したALSの方の罹病期間を振り返ってみました。

【対象】
当院で診療(在宅医療)を担当したALS患者126人。

【方法】
初発症状により球麻痺型、上肢型、下肢型に分類。
呼吸筋麻痺に由来する症状が初発症状であったケース、初発症状が複数の領域に跨っているケースは、今回は除外。
長期入院している場合には、最終的に確認した日付を最終日とした。

【結果】
罹病期間1
除外する前の126人での罹病期間(死亡もしくはTPPV導入まで)です。
平均 60.1ヶ月、中央値 46.1ヶ月です。

罹病期間2
発症後300ヶ月以上経過した2ケースを除外した評価です。
1ケースは360ヶ月経過し、球症状、呼吸筋麻痺症状を認めておらず、
もう1ケースは320ヶ月経過し、構音障害はあるものの、嚥下障害・呼吸筋麻痺を認めていないことから、
今回の評価からは除外しています。
1ケースはすでに亡くなられているので、検討しようがないのですが、もう1ケースは現在も診療を継続しているので、
診断の再評価を行うかどうかを検討しても良いと思っています。
平均 50.2ヶ月、中央値 45.3ヶ月です。

罹病期間3
これまで、私が持っていた考え(文献的)は「球麻痺型」<「上肢型」<「下肢型」でした。
15年ほど前に読んだものに基づいた知識なのですが、整理が悪くて出てきませんでした。

今回の調査では、「球麻痺型」=「上肢型」<「下肢型」でした。
直接の死亡原因を調査し、考察を加えてから、どこかで発表しようと思います。

 


 

輪読会

  • 2014.02.26 Wednesday
  • 08:00
病院では普通に行われていると思いますが、クリニックに来てからはあまり縁がなくなってしまった輪読会。
読書好きの私は、読んで良かった本などをスタッフにお勧めしてきたのですが、あまり読んでもらった印象がないので、
輪読会を断続的ですが、行っていました。

患者数の増加で日常業務に追われ、また私の体調不良などがあり、長期間休止していましたが、再開します。
今回は「
真実を伝える―コミュニケーション技術と精神的援助の指針(ロバート・バックマン著)」です。

真実を伝える

この本のタイトルは「真実を伝える(How to Break Bad News)」なのですが、
「伝える」という一方的なものではなく、
「情報を共有(share)する」こと、医療者と本人・家族の双方向の取り組みが大切だということを教えてくれる本です。

この本を読み進めながら、
・SPIKES
・SHARE
の解説を加える予定にしています。

また、グリーフ・ワーク、スピリチュアル・ケアの観点から、どの時期にどのような説明を行っていくかをスタッフみんなで考える場にしたいと思っています。

施設での在宅医療について考えてみた(1)。

  • 2014.02.13 Thursday
  • 08:00
下のグラフは中医協で(診療報酬側の)委員から提出され使用された資料にあるものです。
看取り場所が不足するとの推計です。
死亡場所1
下のグラフは、それを受けて厚生労働省が中医協に提出した資料にあるものです。
容量オーバーをそのまま「その他」に繰り込み、グラフの中に持ってきています。
俗に言う「看取り難民」は作らないとの思いで作成されたグラフだと思います。
死亡場所2
この「その他」は何かというと介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)等の既存の介護施設ではない「サービス付高齢者住宅」等だと、考えられていました。

当院の診療域は全国的に見ても、高齢者単身世帯の多い地域です。当院が診療を担当している施設にいる患者さんの86%は入所前は独居でした。つまり介護施設がなければ、独居生活を余儀なくされたということです。介護施設での在宅医療提供は、地域医療にとっては必要なことなのです。
「自宅での療養を支えることこそ重要だ」との意見をお持ちの方も少なからずいらっしゃると思いますが、当院で診療を担当している方々は、認知症周辺症状やパーキンソン病症状のために常時介護(見守り)が必要なので、巡回型では対応できません。
 
また「看取り」は医師が死亡確認を行なうのみではなく、日々の生活を支えるための診療(多くは認知症の周辺症状やパーキンソン病の症状コントロール)を行なうことで、本人・家族・ケアスタッフとの関係を構築します。
その関係性を築いた上で、今後、どのような症状が出て、どのように対処していくかを具体的にお話しながら、看取りに対する心構えをしていただくことになります。

平成20年度の当院で行なった調査では、診察時間、移動時間、処方箋やカルテ記入時間、日々の申し送り等などを含んだ
在宅患者の訪問診療1回にかかる時間は63分であり、施設患者では46分でした。
 
最近のケアスタッフは若い人が多く、自身の家族を看取ったことの無い人がそれなりにいらっしゃいます。
そのために「看取る」ことをケアスタッフに受容してもらうための研修は必須だと考え、この5年間は年数回 開催してきました。
最も多かった年度は、施設ケアスタッフ向け研修会は28回に及んだこともあります。

当院は、現在12ヶ所の介護施設(グループホーム、特定施設、サ高住)で診療を行っていますが、うち3ヶ所は1人ずつ、入居者全員の診療を担当している施設は現在のところ一つです。残りの多くも10人未満の施設が多いです。施設側は認知症周辺症状のコントロールが困難なケースや、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症等の神経難病のケースを選んで、当院へ診療依頼されます。

当院のようなクリニックもある中で、施設専門クリニックの診療スタイルに合わせた診療報酬体系を設定されると、困ります。
今後はこれまでの診療スタイルを維持することは事実上、不可能だと考えます。
と愚痴ばかり言っていても始まらないので、介護施設の人たちと、どのような診療を提供していくかを考えてみることとしました。
とりあえず来週、「平成26年度の診療報酬改定に備えて」とのタイトルで、介護施設の施設長やスタッフの人たちと飲み会してきます。

大阪における在宅看取り

  • 2014.01.19 Sunday
  • 08:00
大阪大学医学部が中心となって、北摂7市(池田市、箕面市、豊中市、吹田市、茨木市、摂津市、高槻市)における急性期病院と在宅医の連携をどのように行うかを話し合う連絡会が持たれています。
この連絡会は、在宅医が急性期病院に入院を依頼する場合の問題点を抽出し、どのように解決していくかを建設的に話し合うことに焦点をあてていることです。

在宅医側からは、
・在宅患者の入院の実態調査(←これは3月の第16回在宅医学会大会 浜松で発表します)
・大阪府における在宅看取りに影響を与えている要因の抽出
を行う予定です。

急性期病院側からは、
・救急入院の実態調査(連携室、救急外来を経由したもの)
を行って頂く予定です。

いい機会ですので、大阪における在宅看取りについて、考えてみることにしました。
在宅看取り
左側は市町村別の在宅看取り率です。青色は大阪府の平均(18.2%)を超える市町村。赤色は全国の平均(16.1%)を下回る市町村です。最も高いのは河南町(人口 1.7万人)で25.2%、最も低いのは熊取町(人口 4.5万人)で9.3%です。
左側は人口1万人あたりの在支診・在支病(以下、在支診)数です。青色は大阪府の平均(2.1ヶ所)を超える市町村です。赤色は在支診のない市町村です。
ちなみに河南町に在支診はありませんし、熊取町には人口1万人あたりの在支診は2.2ヶ所で大阪府の平均を超えています。

北摂7市では、豊中市(22.6%)、池田市(20.3%)、吹田市(20.0%)、箕面市(18.7%)、高槻市(16.7%)、茨木市(14.3%)、摂津市(14.1%)であり、北摂7市といっても一括りにはできない印象です。

また各市町村の看取り率と以下のデータは相関がありませんでした。
・人口当たりの在支診数
・人口当たりの在宅患者数
・在支診が関わった全死亡患者率(在支診の関わった全死亡患者数/全死亡患者数)
・在支診が関わった自宅死亡患者率(在支診の関わった自宅死亡患者数/自宅死亡患者数)
・在支診が関わった施設死亡患者率(在支診の関わった施設死亡患者数/施設死亡患者数)
・在宅患者あたりの往診回数
・人口当たりの往診回数

在支診が患者数や看取り数は、その市町村にある在支診が診療を担当した患者数であり、その市町村のデータと直結するものではありませんが、近似値と考えて良いと思っております。
それは当院は近隣市の患者さんの診療を担当させていただいておりますが、近隣市にある在支診も当院のある豊中市の患者さんを担当しているためです。
また死亡場所のデータは最新のものが平成22年度のものであり、平成25年7月の在支診のデータを用いて処理することには無理があります。
 
(看取りに関しては大阪府が公開している平成22年度のデータを使用)
(在支診に関しては、近畿厚生局へ資料公開請求を行い入手した平成25年7月のデータを使用)
※在宅看取り:死亡場所が自宅と老人ホームであったもの。主に在宅医が看取りに関わるものを想定していますので、介護老人保健施設は入っていません。

市町村単位で見た場合、看取り率に影響を与えていると考えられる在支診に関するデータは見つけられませんでした。
次は在支診に焦点をあててみたいと思います。

スコポラミン軟膏

  • 2013.12.02 Monday
  • 10:01
黒字は一般的な内容、赤字は当院(神経内科クリニック)での対応や考え方を記しています。

【はじめに】
唾液はパーキンソン病やパーキンソン症候群では分泌過多となり、脳卒中や ALS など球麻痺を伴い自然に飲み込むことができなくなる疾患でも結果的に増加します。
誤嚥を認める場合には、唾液増加は喀痰量増加の原因となり、呼吸筋麻痺があり咳嗽が弱くなっている場合には痰の喀出困難は困難になります。
そのため唾液増加は喀痰量増加や喀出困難は呼吸苦に直結します。
また球麻痺を伴う場合には、唾液過多は喀痰吸引を頻回に行わなければならないという介護面での問題にも直結します。
嚥下機能の回復のために嚥下リハビリテーションや、パーキンソン病薬の投薬調整などを行いますが、それでも問題が解決しないときには唾液量を減少させることを試みます。
唾液減少を副作用に持つ抗コリン剤や抗ヒスタミン剤の内服薬の使用も考慮しますが、効果が不十分であったり、他の作用のために使用できない場合も少なくありません。
そのような場合にはスコポラミン軟膏の使用を考慮します。
しかしスコポラミン軟膏は薬事収載薬ではないために、後述する理由から研究目的でしか利用できないと考えています。

【適応】
・唾液量の増加や流涎によるトラブルがあるが、他の方法で、そのトラブルを解決できないケース
・スコポラミン使用の禁忌ではないケース
・スコポラミン軟膏の使用を本人(本人が意思表出が困難な場合は主介護者)が了解したケース

【スコポラミン軟膏を使用する時の手順】
(A:医療機関としての準備)
Step 1:医療機関でスコポラミン軟膏を使用することを決定します。
 スコポラミン軟膏はこれまでの研究で、唾液過多による諸症状を緩和すること可能であることが知られています。
 また重大な副作用の頻度は低いとされており、多くのALS診療ガイドラインを含め種々のガイドラインにも記載されています。
 しかしスコポラミンは薬事収載薬ではないため、各医療機関において適切な対応が必要です。
 当法人では、平成22年度に院内での話し合いを行い、スコポラミン軟膏の使用を決定しています。
 医師一人の診療所では、その医師の判断によると思います。
 
Step 2:スコポラミン軟膏を確保します。
 現状では薬剤として認められていないため国内の販売はなく、あくまで研究という立場で個々の医療機関内で調剤して対応するしかありません。
 (海外では吐気止めとしてパッチ剤が販売されています)。
 つまり「自院内で作成する」か「作成してくれる薬局を見つけ、作成してもらう」ことになります。
 また通常の調剤薬局での対応は困難です。
 当法人では、懇意にしている調剤薬局に依頼し作成して頂いています。
 このStepが最も超えにくいハードルと考えています。
 当院では大阪府豊中市にあるグリーンメディック薬局に作成を依頼しております。
 (なお、グリーンメディック薬局では、患者さん・ご家族さんからの直接のご紹介にはお答えされておりません。
 医療機関からのご連絡をお願いします。
)
 
(B:患者に使用する前の準備)
Step 3:患者・家族にスコポラミン軟膏使用の説明を行います。
 当法人では、文書を用いて以下の内容を説明しています。(別紙1)
 (この説明は、あくまでも当法人内で決定したものであって、他者によって検証されたものではありません。) 
 ・使用目的
 ・使用方法
 ・予想される効果と副作用
 ・スコポラミン軟膏以外の治療方法
 ・試薬であることの説明
 ・臨床研究として実施すること
 ・費用負担
 ・連絡先
  (承諾書・同意書等の文書を作成するか否かは、各医療機関ごとで対応を決めます。)
 
Step 4:スコポラミン軟膏の作成
 スコポラミン臭化水素酸塩三水和物 1 gを親水性軟膏 20 g を用いて 約5%スコポラミン軟膏を作成します。(スライド1〜5)
 当法人では、スコポラミン臭化水素酸塩三水和物を少量の流動パラフィンで溶かし、白色ワセリン20gを用いて作成しています。
 前述したように、調剤薬局に依頼し作成していただいております。
 スコポラミンは常備されている試薬ではないので、発注してから手元に届くまで1週間程度かかります。
 当法人では5gずつ軟膏容器に分けて、患者に渡しています。
 (作成の手順は、スライドに示します。)
 
(C:スコポラミン軟膏の使用方法と効果の評価)
Step 5:スコポラミン軟膏の貼付
 5%スコポラミン軟膏を調剤し、約 0.1〜0.5g 程度をカットバンに綿棒等を用いて塗布し、両耳介後部の乳様突起付近に貼付します。(図1)
 当法人では、少量(目分量)のスコポラミン軟膏をカットバンに塗布し、片側の両耳介後部の乳様突起付近に貼付することから開始します。
 理由は効果には個人差が大きいためです。女性は口渇を訴える方が多い印象があります。
 また開始量で強い口渇感が出た場合には、使用継続に拒否的な反応を示す患者さんも少なくないので少量から開始することにしています。
 効果が乏しい場合には、増量します(両側に貼る)。
 交換日が分かるように、カットバンには日付を記入します。
 
Step 6:スコポラミン軟膏の効果の評価
 効果判定は、唾液の減少で行うことになりますが、唾液量を直接的に測定し評価することは困難です。
 ALSなどの意思表出が可能なケースでは、本人の自覚症状を評価スケールに使用します。
 意思表出が困難なケースでは、主介護者の介護負担を評価スケールに使用します。
 唾液が減少したとしても、口渇や唾液の粘り気が強くなることで、評価が低くなることがあります。
 当法人では、本人・家族に全般的な評価を行って頂くために、NRS(Numeric Rating Scale)を使用しています。
  
Step 7:スコポラミン軟膏の交換頻度
 これまでの使用経験から、スコポラミン軟膏の効果は個人差が大きいと考えています。
 初回にスコポラミン軟膏を使用する時に、効果の持続時間を評価します。
 交換頻度は1〜7日に1回程度としています。当法人の使用経験から3日ごとに交換する場合が多いです。
 これまでの研究でも、確立した使用方法はありません。
 
【費用】
スコポラミン軟膏作成には、「原料費」+「手技料」の費用が必要です。
スコポラミン臭化水素酸塩三水和物は1g=6700円、10g=34900円と高額です。
(参考:東京化成工業株式会社 http://www.tcichemicals.com/eshop/ja/jp/commodity/S0021/)
流動パラフィン(1250〜3000円/500mL)やワセリン(1000円前後/500g)、軟膏壺(10mL、10円未満/個)の価格は特に問題にする必要はないぐらい低額です。
一般的な使用量は、0.2〜1.0g/3日です。つまり20gのスコポラミン軟膏は、60〜300日分に相当します。
スコポラミン軟膏を使用する対象者が少ない場合には、軟膏を20g(スコポラミンとして1g)ずつ作成することになります。
5%スコポラミン軟膏20gを作成するためには、原料費だけで7000円弱の費用が必要です。
手技料に関しては、院内で作成する場合には問題になりませんが、調剤薬局に依頼する場合には協議の上、決定する必要があります。

【費用負担に関する考え方
スコポラミン軟膏によって唾液を減らす行為は、保険外診療と考えられます。
厚生労働省の考えでは、「保険診療と保険外診療の併用は原則として禁止しており、全体について、自由診療として整理される。」とされています。
またクリニックがすべての患者に無償でスコポラミン軟膏を渡すことは、ダンピング診療と判断される可能性もあります。
そのため医療機関はスコポラミン軟膏を使用する際には、臨床研究と位置づける必要があると考えられます。
その場合、費用は医療機関の負担になります。
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(別紙1)
スコポラミン0
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(別紙1テキスト)

スコポラミン軟膏の使用について
 
1. 使用目的】
あなたの病気の進行にともない、唾液の飲み込みが悪くなり流涎の症状が出現します。
 
今回使用する薬品について 
スコポラミンという薬剤は抗コリン作用をもち、検査前のお腹の動きを止めたり
痛みをとめたりする薬と同じ成分です。国内では、医療用の医薬品としてではなく
試薬として取り扱われています。
 
今回使用を行なうに至った経緯と投与の必要性
抗コリン作用を有し、耳下腺に対して唾液の分泌を抑える働きが期待できるため
症状の軽減のためこの薬剤の使用を考えています。
当クリニックではこの薬剤の効果で、同じような症状を持つ患者さんの苦痛が軽減される
ことをめざして、臨床研究を行うことにしておりこの研究にご協力いただければありがたいと考えています。
 
2. 使用方法】
5%スコポラミン軟膏0.1gをカットバンに塗布し、両耳介後部乳用突起部に貼付します。
13日に1回張り替えます。
 
3. 予想される効果】
唾液の分泌が少なくなり、流涎の症状が改善することが期待できます。
そのため唾液の垂れ込みによる誤嚥性肺炎の予防や吸引回数の減少が期待できます。
 
4. 予想される副作用】
口渇、悪心、嘔吐、発汗減少、尿閉、便秘、目の調節障害、眠気、発疹があります。
軟膏使用前の状態を著しく逸脱する範囲で出現した場合は中止する必要があります。
副作用が出た場合は、他の薬物と同様に保険診療の範囲内で適切な治療を行ないます。
 
5. あなたの症状に対する他の治療法について】
三環系抗うつ薬や、トリへキシフェ二ジル塩酸塩などの抗コリン作用を持つ薬の使用。
唾液専用低圧持続吸引器による持続吸引
などがあります。
 
6. 薬代等の費用負担について】
当クリニックで全額負担いたします。

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(スライド1〜5)
スコポラミン1

スコポラミン2
スコポラミン3

スコポラミン4

スコポラミン5
(グリーンメディック薬局(大阪府吹田市)の通山さん作成)
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(図1)
スコポラミン6
 

新患カンファレンス(平成25年11月)

  • 2013.11.15 Friday
  • 15:45
新患カンファレンスは、毎月第3金曜日、15時45分から約1時間のスケジュールで開催しています。対象患者さんは前回のカンファレンス以降に開始した在宅患者さんです。
新患カンファレンスの進め方は、以前と変更ありません。
今月は4ケースでした。
・MSA                1人
・Myotonic dystrophy  1人
・PD                2人
問題になった点は、
・診断自体に疑義のあるケースはありませんでしたが、症状が原疾患のみでは説明できないケースが1例あり、前医で撮影された画像を確認することとしました。
・転倒傾向の強い方の抗凝固
療法をどうするかが議論になりました。年齢を考えると、かなり強力な治療が行なわれており、調整が必要と判断しました。
・薬物療法に対して期待通りの効果が得られないPD例があり、それをどのように判断するか、今後のプランをどうするかが議論になりました。
・MSAは自律神経症状で発症したMSA-Pと考えられましたが、パーキンソン症状が強く、進行が早い印象があり、高次機能障害も強い印象でした。
 診断を疑うほどではないと考えています。
 上気道狭窄も疑う所見もありませんでした。

 
・今回は、独居の方はありませんでした。配偶者と2人暮らしの方が1人、配偶者と子と同居されている方が2人で、子と同居されている方が1人でした。いつものよりは家族介護力のある印象の月でした
・日中独居となるケースがあり、介護体制の整備を試みられていますが、本人の満足が得られる体制は取れていません。
 本人の希望通りの介護体制を取るためには、制度を超えたサービスを利用する必要があり、難しいと考えています。

(20131108-09)第1回日本難病医療ネットワーク学会学術集会

  • 2013.10.29 Tuesday
  • 08:00

11月8日(金)〜9日(土)、中之島にある大阪市中央公会堂で
「学会元年を 迎えて多様なニーズ に対応する 支援ネットワークを探る」をテーマに開催されます。
(
http://osakananbyo.jp/gakkai/index.html)

当院は、神経難病医療に関わる医療機関として「日本難病医療ネットワーク研究会」の時代から可能な限り演題の発表を行なってきました。
今年から研究会から学会に代わり、演題も多少様変わりしている印象を持っていますが、在宅の現場から皆さんに知ってほしいと思っている事柄を発表していこうと思っています。

当院からは、

・「レスパイトケアで家族の介護負担は軽減したのか?」

・「在宅気切人工呼吸療法における緊急コールの実態調査から見えてきたもの」

・「筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者のNPPV導入前に我々は何を伝えるべきか?」

の3題を発表します。

また、11月9日のシンポジウム「2次医療圏域の支援ネットワークを構築するために」に
シンポジストとして、当院の泉が登壇し「地域看護・介護の立場から〜レスパイトケア病棟から見えてくること〜」というお話をさせて頂きます。

ご都合が付きましたら、ご参加ください。

新患カンファレンス(平成25年10月)

  • 2013.10.18 Friday
  • 15:45
新患カンファレンスは、毎月第3金曜日、15時45分から約1時間のスケジュールで開催しています。対象患者さんは前回のカンファレンス以降に開始した在宅患者さんです。
 
新患カンファレンスの進め方は、以前と変更ありません。
 
今月は7ケースでした。
・ALS     1人
・脳梗塞  1人
・MSA    1人
・膠原病  1人
 
問題になった点は、
・診断自体に疑義のあるケースはありませんでしたが・・・。
・ALSのケースは、進行が早く、告知、インフォームド・コンセントが十分ではない印象がありました。すでに構音障害のためにコミュニケーション・エイドを使用しており、会話に時間がかかるために、当院も十分な告知が行なえていません。今後、患者・家族の病状の受け止め具合を確認しながら、告知を加えていく予定にしました。関わっている療法士の方はALS例の経験が少ない様子でしたので、もう少し、細かな指示を出す必要がありそうです。
・脳梗塞のケースは、現在認められている症状が、診療情報提供書に記載されている梗塞巣では説明できないと考えられました。また同時期に複数の梗塞を起していることの検討も行なわれていませんでした。画像の取り寄せなどを行い、現在の抗凝固療法で良いのかを再検討することとなりました。
・MSAのケースは、
独居のケースで、家族は通いで介護している状況です。食事のためには、介助が必要です。嚥下評価でゼリー状のものでも誤嚥することが確認されており、胃瘻造設し経管栄養を行なっています。本人は食べたいと言い、家族は肺炎を起こす可能性が高いなら食べさせたくないと意見が分かれていました。本人の意思と家族の意向の調整、実際に食事介助を誰が、どのように行なうかなどの問題をクリアにすることが、当面の問題と考えられました。
・膠原病のケースは、中心静脈栄養を行ない、廃液目的で腸瘻が造設されているケースです。特に、問題となることは、ありませんでした。

 
・今回は、独居の方が1人、配偶者と2人暮らしの方が2人、配偶者と独身の子との3人暮らしの方が1人で、いつものように家族介護力のないケースが多い月でした

院内症例検討会(平成25年10月)

  • 2013.10.11 Friday
  • 15:45
当院は複数の医師(常勤 4人、非常勤 3人)、看護師(常勤 18人、非常勤 2人)、療法士 5人等で在宅医療(訪問診療、訪問看護、訪問リハ)、レスパイトケア入院を提供しています。
 
複数のスタッフで関わりを持つ場合、スタッフによって患者さんへの関わり方に対する考えが異なることがあります。みんなで同じ方向を向いて患者さんを支えるために、院内スタッフでカンファレンスを行っています。
またカンファレンスは、困難事例では他のスタッフにアドバイスを求める場としても活用しています。
 
【問題点】
ALS患者の呼吸苦を緩和するためにどのような介入をすべきか?
 
50歳代 男性 筋萎縮性側索硬化症
 
当法人からの訪問診療、訪問看護、訪問リハビリを行っている。
他の事業所から訪問看護、多数の事業所より訪問介護を受けている。
発症後 7年、気管切開・人工呼吸管理を開始してから5年が経過している。
人工呼吸器は開放式回路を使用。酸素療法は行なっていない。

現在も、1時間程度は呼吸器からの離脱は可能。
これまでに一度だけ、Auto-PEEPを疑う症状を認め、バックアップの呼吸数を減らし、吸気時間を減らすなどの人工呼吸器の設定変更を行っている。
ヘビースモーカーであったが、肺気腫と診断されたことはないとのこと。

最近、「息が吐けない感じがする」との表現で呼吸苦を訴える頻度が増加している。
人工呼吸器を外して欲しいとの訴えがあり、外すと楽になることがある。
カフアシスト・スクィージングを行なうと呼吸苦は一過性に軽快しているが、短時間で再び呼吸苦を訴えている。
呼吸数は14回/分、吸気時間 1秒(IE比 1:3.3)、PEEP 5hPaであった。
スクィージングを行なってうと胸郭が硬い印象はある。

「吐きにくい」との訴えであったので、PEEPを5hPaから2hPaへ変更。
人工呼吸器を外して欲しいとの訴えは消失しているが、呼吸苦の訴えは持続しカフアシスト・スクィージングをして欲しいとの訴えが頻回にある。

このケースは、ヘビースモーカーであったことから肺気腫を合併している可能性はある。
肺気腫では強い陰圧をかけると肺胞が虚脱してしまうためにカフアシストを使用しても、十分に吐けていない可能性もある。
また肺気腫では、肺のコンプライアンスが高いため肺が十分に収縮せずにに息を吐き出せていない可能性もある。


肺活量が良い状態で、気管切開・人工呼吸管理を開始すると初期にファイティングなどで気道内圧が高い時期を経験するケースがある。
このようなケースは人工呼吸管理開始してから数年間経過すると、肺の線維化のためか気道内圧が高くなることがある。
しかしこのケースは、肺気腫のために肺のコンプライアンスが高くなっている可能性があり、そのために気道内圧が高くなっていない可能性がある。


【対応】
呼吸器の原因は特定できていないが、肺気腫合併により肺のコンプライアンスが高く、呼気時の収縮性が低くなっているために「吐けない」との訴えが出ている可能性を考える。
確認のために胸部CTを行うことを提案している。
また治療としては、「PEEPをかける」「呼気時間を十分にとる」「酸素療法を併用する」となると考えられる。
このなかで
PEEPをかける」「呼気時間を十分にとる」はすでに行なっており、「酸素療法を併用する」を行なう予定としている。

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