抄読会の資料(2020年10月9日)

  • 2020.10.09 Friday
  • 16:00
次回は2020年11月13日(金) 16時30分からです。

Respiratory Failure in Amyotrophic Lateral Sclerosis (Review)

下線部分は、藤田が追加しています。

 

口腔内分泌管理の方法として、

々灰灰螢鷓

唾液腺へのボツリヌストキシン注射

B単嫣への放射線療法

またこの論文では取り上げられていないが、流涎の対処法には唾液腺への外科的アプローチ(導管の結紮等)もあります。

上記は唾液分泌を抑制するための方法です。論文での報告はありませんが、低圧持続吸引器等を用いたり、ポジショニングで口腔内の唾液を出す(いわゆる涎)方法で分泌された唾液を除去する方法も有効と考えられる対処法です。ただ除去する唾液量が多ければ脱水の原因にもなりますので除去される唾液量の確認が必要です。

 

論文によって推奨している順序は異なっています。比較試験の有無は不明(探せていない可能性はあります)。

この論文では、低侵襲なものとして抗コリン剤から開始することを勧めています。

抗コリン剤としてはスコポラミン(経口または経皮吸収型パッチ)、アトロピン、グリコピロリン酸塩などが示されている。アミトリプチリンの記載もありますが、これは三環系抗うつ剤です。抗コリン作用があり、唾液を減少させます。

何かしらの抗コリン剤の効果が低い時は他の抗コリン剤の追加は副作用のリスクを増大させるだけなので、他の抗コリン作用薬へ変更した方が良いとしています。

スコポラミン(抗コリン剤)が無効な場合は、アミトリプチリン(三環系抗うつ剤)への変更なども考慮します。

抗コリン剤で多く認められる副作用は、錯乱、眠気、および尿閉です。
特にアルツハイマー型認知症を併発している場合には、認知機能低下のリスクが高いです。

 

抗コリン剤の効果が乏しい、もしくは副作用のために使用継続が困難な場合には、唾液腺(顎下腺 and/or 耳下腺)へのボツリヌストキシン注射が選択肢になります。

患者によって効果に差があり、今のところ投与量・投与間隔に関するデータが乏しい状況です。ただ球麻痺が増悪する懸念があります。

 

他の治療法で効果が不十分な場合には唾液腺への放射線照射が選択肢になりますが、照射量等のデータは今のところありません。

 

Drooling Reduction Intervention randomised trial (DRI): comparing the efficacy and acceptability of hyoscine patches and glycopyrronium liquid on drooling in children with neurodisability (Randomized Controlled Trial)

 

【研究の概要】

イギリスで行われた小児を対象とした抗コリン剤であるスコポラミンパッチ(ヒヨスチンパッチ)とグリコピロニウム液内服の多施設、プロスペクティブ、単盲検化、ランダマイズ化比較試験。intention to treat analysis(ITT 解析)。

スコポラミンパッチ(ヒヨスチンパッチ)、グリコピロニウム液ともに日本国内では発売されていない。スコポラミンは日本ではハイスコ(注射薬)、グリコピロニウムはシーブリ(吸入薬)として発売されている。

 

【薬剤の投与方法】

最初の4週間は各薬剤の増量期間。

スコポラミンパッチは0.25/3日から0.25/3日ずつ1週間ごとに漸増し、4週目には1.0/3日。

グリコピロニウムは40μg/kg/回×3/日から20μg/kg/回ずつ1週間ごとに漸増し、4週目には100μg/kg/回×3/日。1回あたり2咾鮑蚤舂未箸靴討い(体重20kg以上は2/回)

最初の5週目から12週目までは各薬剤の使用量は維持。

重大な副作用があった場合、投与量の減量もしくは中止。

 

【評価方法】

ー舁廛▲Ε肇ム

薬剤投与開始から4週後のDrooling Impact Scale(DIS)。

副次的アウトカム

開始前と4週後、12週後のDIS、Drooling Severity and Frequency Scale (DSFS)のスコアの変化。

4週後、12週後のTreatment Satisfaction Questionnaire for Medication (TSQM)の群間差。

 

【結果】

流涎のある90人(男児55人、女児35人)が参加。

スコポラミンパッチ49人(DIS 57.9)、グリコピロニウム内服41人(DIS 52.1)に無作為割付。開始前のDISに群間差はない。

スコポラミンパッチ47人(2人脱落)、グリコピロニウム内服38人(3人脱落)が、薬剤使用開始。

スコポラミンパッチ41人(41/47)、グリコピロニウム内服29人(29/38)が、主要アウトカム評価。(26-35日目に評価を確認できなかったケースは除外)

スコポラミンパッチ26人(21+2人脱落)、グリコピロニウム内服31人(7+3人脱落)が、12週後まで薬剤使用を継続。

 

【主要アウトカム】

4週後のDIS:スコポラミンパッチ(41人) 32.1(±19.4)、グリコピロニウム(29人) 25.3(±14.1)

開始前と4週後のDISの変化:スコポラミンパッチ ↓25.0(±22.2)、グリコピロニウム 26.6(±16.0)。

群間差なし。両群とも開始前との比較で4週後のDISは有意に低下(改善)。

 

【副次的アウトカム】

12週目のDIS:スコポラミンパッチ(38人) 31.0(±19.3)、グリコピロニウム(33人) 23.8(±17.5)

4週後のDISとの差はない。

 

DSFSの変化(開始前→4週後→12週目):スコポラミンパッチ 7.5→5.1→4.7、グリコピロニウム 7.6→5.1→4.7

 

4週後、12週目のTSQM:スコポラミンパッチとグリコピロニウム内服では効果、副作用、利便性ドメインでは差はなかった。4週後の全般的ドメインでスコポラミンパッチのスコアがやや低かった。

 

【副作用】

想定されていた副作用(気分不良、便秘、口渇など、皮膚トラブル)はグリコピロニウム(63.2%)の方がスコポラミン(46.8%)より多かった。

スコポラミンは17人が副作用のため使用を中止。うち11人が皮膚トラブル、4人パッチを剥がすであった。

グリコピロニウムは7人が副作用のため使用を中止。うち3人が歩行不安定、4人が多動などであった。


【まとめ】

流涎に対して抗コリン剤は有効であった。少なくとも3カ月は効果の減弱はなかった。

スコポラミンとグリコピロニウムでは有効性に差はなかったが、スコポラミンの方が副作用で中止する頻度が高く、グリコピロニウムを第一選択とすべきである。
スコポラミンパッチ、グリコピロニウム内服ともに日本国内では入手できない。

そのため現実的にはスコポラミン軟膏の研究的使用や他の抗コリン作用を持つ薬剤の内服を行うこととなる。
ハイスコの口腔内(舌下)投与が行われることもあるが、効果などを評価した論文はない。

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