院内症例検討会(1)(平成25年07月)

  • 2013.07.12 Friday
  • 15:45
当院は複数の医師(常勤 4人、非常勤 3人)、看護師(常勤 18人、非常勤 2人)、療法士 5人等で在宅医療(訪問診療、訪問看護、訪問リハ)、レスパイトケア入院を提供しています。

複数のスタッフで関わりを持つ場合、スタッフによって患者さんへの関わり方に対する考えが異なることがあります。みんなで同じ方向を向いて患者さんを支えるために、院内スタッフでカンファレンスを行っています。
またカンファレンスは、困難事例では他のスタッフにアドバイスを求める場としても活用しています。

今回は定例のものに加えて、褥瘡委員会からも症例提示の希望があったので、2題になりました。まず、1例目。

【問題点】
ALSの方の独居生活を支えるために我々が出来ることは何か?

50歳代 女性 筋萎縮性側索硬化症

上肢は機能全廃。
椅子やベッドからの立ち上がりは可能。屋内は歩行可能。
食事は介助を受け、普通食を摂っているが、梨状窩に残留を認めている。
胃瘻造設しているが、使用していない。
構音障害はあるが、会話は全て聞き取れる程度。
NPPVは練習中。一日20分程度使用。

当院より訪問診療を行っており、2つの訪問看護ステーションより週10回の訪問看護・リハビリテーションを行っている。
また日常生活は、介護が必要な部分があり、週30時間の訪問介護を受けている。
介護保険は利用限度額を超えており、月数万円の自己負担が発生している。

子供は3人。一人が近隣に住み、介護にあたっている。一人は遠くで家庭を持っており、週1回、短時間の訪問に留まっている。
経済的には安定している。
身体障害者(1級申請中←2級)、要介護5

【本人・家族の希望】
本人は現在の生活に(漠然とした)不安を持っているが、自宅での生活を継続し、自宅での看取りを希望している。
TV導入は希望していない。
構音障害の進行に対して、言語療法導入を希望されている・

家族は自宅での生活を継続して欲しい。TV導入し、長生きして欲しい。
TV導入した場合、療養場所は考えていない。自宅で療養したとしても、今以上の家族介護は行えないと考えておられる。

【問題点の整理】
)椰佑麓宅での療養継続を強く希望しているが、家族は協力困難。
 家族の意向は、あまり明確になっていない(現実との整合性が取れていない)。
NPPV導入を行っているが、将来的な療養場所を制限することに繋がらないか?
上肢障害のため、緊急用コールが使用できていない。
げ雜酳欷院医療保険を利用した言語療法導入は困難な状況。

【対応】
)椰佑麓宅での療養継続を強く希望しているが、家族は協力困難。
 家族の意向は、あまり明確になっていない(現実との整合性が取れていない)。
 本人の意向を尊重する。
 現在の障害程度であれば、現状のサービスで良いと考えられる。
 家族が現実を直視していない可能性があり、そのために療養場所等を決めかねている可能性が高く、本人、家族、ケアマネジャー、保健師、在宅医で具体的プランを示し、方向性を決めるためのカンファレンスを近々に予定。

このケースは、本人の意向が決まっているケースであったが、決まらないケースも多い。
その際に、「決めることを本人・家族に迫ることは、良くないのではないか」「全てが決まったいない場合でも、決まった範囲内で、行うことが出来る選択肢の提示は行わなければならない」との意見も出ていました。

NPPV導入を行っているが、将来的な療養場所を制限することに繋がらないか?
NPPVを使用している人が長期間入院可能な医療機関は限定されている。
当院の診療している地域では、TVを使用している人よりもNPPVの方が受け入れ医療機関が限定されている現実もある。
「我々は、TV導入には慎重に、インフォームド・コンセントを行なっているが、安易にNPPV導入を行なっているのではないか」との意見も出されている。
以前は、NPPV導入は生命予後を延長しないとのレポートが多かったが、最近では6-19ヶ月程度、生命予後を延長するとのレポートが出てきている。
本例では、将来的にTV導入を行なわない予定であることから、NPPV導入に関して、もう一度、検討する必要があるとのことになった。(※)

上肢障害のため、緊急用コールが使用できていない。
足でスイッチを押せるように、セッティングの変更を行うこととした。
コール先が、別居している家族であり、日中を留守にしていることが多いので、実効性はない可能性が高い。経済的に余裕があるので、警備会社などの緊急コールの使用も考慮。

げ雜酳欷院医療保険を利用した言語療法導入は困難な状況。
介護保険は利用限度額を超え、自己負担が出ている。
 →クリニックからの訪問リハビリテーションでは、全額自己負担になる。
医療保険では、すでの2つの訪問看護ステーションが入っている。
 →当法人の訪問看護ステーションからの訪問リハ(訪問看護)を行なう場合には、3つ目の訪問看護ステーションからの訪問リハ(訪問看護)になるために、不可能。

「構音障害の評価、スイッチ類のセッティングのために短期的に自費で言語聴覚士を導入し、他のステーションの訪問看護師へスイッチするプランで調整をしてみては?」との意見が出されており、近々に開催されるカンファレンスで調整を行なうこととした。

(※)当院で診療を行い、死亡もしくは気管切開・人工呼吸管理へ進んだ108人のALS患者を対象にNPPV導入時、死亡時もしくはTVへの変更時の状態(肺活量、SpO2、EtCO2、ALSFRS-R)を見直し、NPPV導入時にはどのようなインフォームド・コンセントを行なうべきかを検討することとした。

前回の検討会のケースは、約2ヶ月間自宅での療養を送られ、主介護者の息子さんも少し落ち着いて来られた。そしてサービス提供者側のアドバイスも聞き入れる余裕が出てきた様子であった。
食事制限の開始、ヘルパーの役割も変更が計画されていた矢先に心不全ために、紹介元病院へ再入院されている。
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