ジスキネジア(パーキンソン病の運動症状)

  • 2013.05.27 Monday
  • 08:00
「オフ・ピリオド・ジストニア」に続く、二回目は「ジスキネジア」です。

「ジスキネジア」やら「ジストニア」やらよく似た言葉が出てきて、混乱してしまいます。

ジスキネジア(dyskinesia)は[dys(異常)]と[kinesia(運動)]に分解され、ジストニア(dystonia)は[dys(異常)]と「tonia(緊張)]に分解されます。

以下はPDガイドラインよりの引用です。
『L-ドパ誘発性ジスキネジアにはpeak-doseジスキネジアとdiphasicジスキネジアとがある。いずれも進行期で症状の変動が明らかとなる時期に認められるようになり、L-ドパ治療4〜6年で36%程度に発症する。
diphasicジスキネジアはpeak-doseジスキネジアに比べると頻度は低い。』

進行期のパーキンソン病の方ではジスキネジアは良く認められる症状です。
しかし本人、ご家族が「ジスキネジアです」と言ってくれるわけではありません。
ジスキネジアは薬剤の影響で出現することが多いので、決まった時間帯に出現することが多くなります。そのため診察時に、出現していないことも多いため、多くは家族へのインタビューで判断しなければならないこともあります。(最近は携帯電話に動画撮影機能が付いていますので、動画で確認出来る場合が増えてきており、診断が容易になってきています。)
本人、ご家族は「(安静時)振戦」を「振るえ」と表現されることが少なくありません。そして「ジスキネジア」も「振るえ」と表現されることがあります。
医師は「振戦に対して抗パーキンソン病薬」を処方し、振戦が軽快することを期待しているのですが、本人・ご家族からは「薬が増えてから、振るえが酷くなった」と言われることがありますが、多くの場合は「振戦(振るえ)は消失したが、(peak-dose)ジスキネジア(振るえ)が酷くなった」の場合と考えられます。

まず、どの様な運動であるのか
・ご家族に真似をしてもらう
・動画を撮影してもらう
・医師が「振戦」「ジスキネジア」の真似をして、どちらに近いか判断してもらう
・「振戦」「ジスキネジア」の動画を見てもらい、どちらに近いか判断してもらう
などで、評価を行ないます。

peak-doseジスキネジア
『パーキンソニズムのon時に現れ、L-ドパ血中濃度の高い時に一致する。
顔面、舌、頚部、四肢、体幹に舞踏運動として現れる。
粗大に上下肢を動かすバリスム様であったり、ジストニア様の異常姿勢が目立つこともある。』
『軽症の場合は、日常生活を低下させないので治療は不要である。つまり軽度のジスキネジアを消失させる必要は通常ない。』
『日常生活に支障があるようなジスキネジアの治療について解説する。』(PDガイドラインより)

ジスキネジアはon時に現れる症状なので、本人は「ジスキネジアが出ている」=「調子が良い」と判断することがある。
つまりジスキネジアによる日常生活の支障が出ていても、ジスキネジアの出ていない状態(peak-doseに達していない状態)での日常生活の支障を比較して、「ジスキネジアが出ている状態の方が生活がしやすい」と判断する方が、少なからずおられることを念頭において治療を開始するか否かを決定する方が良いと考えています。

ジスキネジア

以下の順序で行うことが推奨されています。(PDガイドラインより、一部改変)
(四僂靴討い織┘侫圈(セレギリン)減量・中止。
∧四僂靴討い織灰爛織(エンタカポン)減量・中止。
L-ドパの1回量を減量して投与回数を増やす。
L-ドパの1回量を減量し、不足分をドパミンアゴニストの追加・増量で補う。
ゥ▲泪鵐織献鵑療衢燭△襪い倭量。
手術療法(視床下核刺激術等)。

私の場合には、以下のような手順で治療しています。
.┘侫圈爾慮採漫γ羯

L-ドパの1回量を減量して投与回数を増やす。
 服薬に支援が必要な場合には、これは選択できない場合があります。

L-ドパの1回量を減量し、使用していない場合にはコムタン(エンタカポン)を併用する。
 高齢者の場合には、L-ドパを300mg/日以下まで減量を試みる。
 「L-ドパ+コムタン」はジスキネジアを増加させることはないとのエビデンスはありますが、「L-ドパ(減量)+コムタン(併用)」がジスキネジアを減少させたエビデンスはありません。
 私の場合には、L-ドパの減量を50-100mg/2週間のペースで減量しています。
 ジスキネジアが軽減したが、オフの出現、オフ時間の延長などでADLが低下した場合にはコムタンを併用するようにしています。
 しかしADLが少しでも低下すれば生活が破綻してしまう可能性がある場合には、L-ドパ減量とコムタン併用を同時に行うこともあります。

L-ドパの1回量を減量し、不足分をドパミンアゴニストの追加・増量で補う。
 最近はミラペックスやニュープロパッチなどの1日1回投与のものを使用することが多い。

ゥ轡鵐瓮肇譽(アマンタジン)の開始・増量。
 シンメトレルの開始・増量はパーキンソニズムを悪化させることなく、ジスキネジアを抑制するとのエビデンスがあります。シンメトレルの抗ジスキネジア効果は高いとされています。
 ネックとなるのは、日本では300mg/日までしか使用できないこと、経時的(8ヶ月から1年かけて)に抗ジスキネジア効果が減弱することです。 
 

diphasicジスキネジア
『L-ドパの血中濃度の上昇期と下降期に二相性に出現し、on時の間はジスキネジアは消失している。
下肢優位に出現し、反復性のバリスム様の動きやジストニアが目立つことが多い。
脱神経したドパミン受容体への波状のドパミン刺激が重要な機序であると考えられている。』
『diphasicジスキネジアの治療は困難でありエビデンスも乏しい。確立された治療法はない。』(PDガイドラインより)

on時とoff時の中間期を減らすことが治療の主眼となります。
私の場合には、
L-ドパを減量せずに、投与回数を増やす。
L-ドパの1回量を減量し、不足分をドパミンアゴニストの追加・増量で補う。

,蓮peak-doseジスキネジアのところで述べたような理由で採用できない場合が少なくありません。
△亡悗靴討蓮効果があるというエビデンスはありません。自宅(施設)で療養している方々では、ジスキネジアのみが問題になることが少ないですが、他の症状との兼ね合いで、△鮑陵僂垢襪海箸多くなります。



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