第三回北摂在宅医療症例検討会のご報告(2)

  • 2013.05.14 Tuesday
  • 08:00
グループワークは各グループ9人でやや、多いです。
グループワーク開始後、ファシリテータ1人、書記1人、発表者1人、観察者1人をグループ内で話し合って決めていただきました。
前回、観察者はこちらで決めさせていただきましたが、今回は観察者もグループ内で決めていただきました。

グループワークに医師が入ると、ファシリテータをせざるを得ないか、参加者が医師の意見を聞こうとする傾向があるので、前回は医師に観察者をお願いしましたが、今回はそこも含めてグループで協議していただきました。

終了後、医師から自分が参加しないグループワークを見る良い機会になったとの感想を頂きました。

観察者は、グループワークで話し合われている内容に立ち入らずに、話し合いの進め方の観察と評価をお願いしています。

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【観察者の方々へのお願い】
・グループワークの進め方に対する評価をお願いします。
 話し合われた結果の内容へのコメントは避けてください。
・終了後に好評をお願いします。可能な限り良い点を取り上げてください。
・話し合いで意見が出ない、または意見の整理がつかず膠着状態になった場合はアドバイスをお願いします。
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今回は、単身で自宅療養を行なっている2ケースをプレゼンテーションしていただきました。

【ケース1の概要】
70歳代 男性 糖尿病 アルコール依存症

インスリン自己注射(血糖測定、スライディング・スケール)を行なっている。

認知症の精査は行なっていないが、近時記憶障害が目立ち、認知症はあると考えられている。
食事、内服、インスリン自己注射は不確実で、低血糖発作を頻回に認めている。
他に意識消失発作(?)を認めている。入院し原因検索が行なわれ、「低血糖発作」「てんかん」が疑われているが原因は確定していない。
入院時にリハビリテーションを受けており、自宅でのサービス提供が考えられた経緯があった。

現在も、飲酒を続けておられる。

別居している息子さんが2人いる。ともに独身。
 時に家を訪問され、介護を担当されている。

自宅での生活を継続したいとの本人の意向は明確であった。
息子さんたちは希望しているのであれば、自宅での生活を継続させてあげたいとの意向をお持ちであった。ただし、経済的に援助することは困難であり、本人の年金で賄える範囲でのサービス利用をして欲しいとのことであった。

【ケース2の概要】
80歳代 女性 加齢性変化 全盲

特に医療的処置は行われていない。

認知症の精査は行なっていない。
全盲のため、外出や調理は行なえていない。
 更衣を含めて自宅内での身の回りのことは、自分で行なえている。

別居している息子さんが2人いる。ともに結婚し、近隣府県に住んでおられる。
 時に家を訪問され、介護を担当されている。

自宅での生活を継続したいとの本人の意向は明確であった。
息子さんたちは希望しているのであれば、自宅での生活を継続させてあげたいとの意向をお持ちであった。経済的援助を行なうことも可能とのことであった。

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こういったケースのプレゼンテーションではすべての情報を提示できるわけではないので、判断するために必要な情報・状況は「自分達で勝手に設定を決める」ようにしていただいています。

【医療的問題】
ケース1では、ヘルパーと訪問看護師の連携が上手く行っていないから、血糖コントロールは不良で低血糖発作を認めているのではないかとの意見が出されていました。
しかし「インスリン自己注射を内服に変更する必要があるのではないか」との意見が多く出されました。医師の多くも「高血糖よりも低血糖の方が良くない」と判断しており、自身が主治医であれば内服薬への変更を考えるとの意見を持っていました。

実際には訪問看護師より、インスリン自己注射(特にスライディング・スケール)は困難である旨の説明がなされていました。しかし現在の主治医は「このHbA1cでは、インスリン療法の継続が必要です」との反応であったとのことでした。
(在宅医側はインスリン自己注射が確実に行なえていないので、こんなコントロールになっているのではないか?と考えておりました)

ケース2では、医療的問題は特にないと考えられていました。

【心理的問題】
ケース1の方は、精査するまでもなく認知症症状はあると考えられます。
ケース2の方は、「こんな状態で一人暮らしを継続したいなんて、まともな判断が出来ていないのではないか」との意見もありましたが、少数です。「おうちが大好きな人」は多いので、一概に認知症とは判断できません。

ケース1・2ともに、「なぜ自宅での生活を継続したいのか?」を掘り下げて欲しかったのですが、こういった意見はあまり出ませんでした。単に「施設・病院がイヤ」なのか、「自宅が好き」なのかでも、プランは変わると思うのですが・・・。

少し関連があることでは「この方々の生きがい作りが出来ないか?」「そのためにはデイサービスなど、他の人と社会的な関わりを持つことが必要ではないか?」との意見が出されています。
その前に「自宅で生活していく中で何かやりたいと思っていることは?」を探って欲しかったです。

【社会的問題】
ケース1・2ともに、単身であるが近親者がいることが共通していました。
どちらかのケースは全く身寄りがないケースを準備すべきだったと反省しています。

土日の訪問看護・訪問介護はどのようにしているのかとの問いがあり、訪問看護師・ケアマネジャーより「家族に介護に参加して欲しいので入れていない」との情報提供がありました。

リスクを減らすためにも訪問服薬指導などサービスをもう少し入れたほうが良いとの意見が出された一方で、本人たちは生活する上でのリスクがあったとしても現状の生活に満足しているのであれば、サービスを入れることは大きなお世話ではないのか との意見も出されています。

サービスを増やすためには、ケース1の場合では経済的問題を解決することも必要であると考えられました。

今回のケースは、ともに息子しかいないケースであったので、娘がいるケースでは異なる状況になっていたのではないかとの意見もありました。

直接的に介護に参加するだけではなく、「本人を理解する」「何かを決めないといけないときに本人を支援する」「本人の自己決定権を尊重する」などをキーワードに家族の参加を促す必要が述べられていました。

【まとめに代えて】
単身者の生活を支える上で、その職種の人すべてがそうではありませんが、職種によって一定の傾向がありました。

(リスクがあっても、本人が希望するなら自宅で生活してもらえば良いじゃないか)
・在宅医
 ↓
・訪問看護師
 ↓
・訪問療法士
 ↓
・ケアマネジャー
(リスクが高い場合には、サービスをたくさん利用して、それでも無理なら自宅での生活を諦めて施設への入所を考えた方が良い)

特にキャリアが短いケアマネジャーのほうが、自宅での療養継続を諦めた方が良いとの傾向がありました。(いずれにしろ少数なので、あくまでも印象レベルです。)

また、この会に参加している在宅医は平均的とは言えない医師の集団ですので、他の医師(特に病院に勤務されている医師)とは、考え方が異なると思っています。

ただ、懇親会やアンケートから、「リスクがあっても本人・家族が希望しているのであれば、自宅での生活を継続しよう」と、明確なスタンスを持っている医師がいることが分かって良かったと 述べられているケアマネジャーが数人おられました。

私のみならず参加している医師のスタンスとしては、「リスクがあっても本人・家族が希望しているのであれば、自宅での生活を継続しよう」なのですが、「本人の認知機能は正常か?」「家族は十分にリスクを理解し、納得しているか?」も当然、勘案する必要はあると思っています。
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