在宅人工呼吸管理(8)

  • 2013.05.05 Sunday
  • 08:00
5: 呼吸理学療法
呼吸器疾患の呼吸理学療法と異なる部分がある。

・「呼吸筋疲労の緩和」「胸郭柔軟性の維持」「気道クリアランスの改善」が主な目的となる。

・呼吸理学療法を行うことで、ボリューム・コントロールの場合はPIPを低く保つことが可能であり、VILI(Barotrauma)のリスクを減らすことができる。

・プレッシャー・コントロールの場合は低い吸気陽圧( inspiratory positive airway pressure:IPAP)でも、目標の一回換気量を維持することが可能となり、VILI(Barotrauma)のリスクを減らすことができる。

・「胸郭柔軟性の維持」「気道クリアランスの改善」のためにも、排痰補助装置の使用を考慮する。

・排痰補助装置を使用できない場合には、PEEPバルブ付バッグ・バルブマスクを使用し無気肺予防に務める。

・呼吸理学療法には呼吸困難感からくる不安の精神的サポートの効果もある。

6: コミュニケーション支援
・HMV患者では、認知機能・意識レベルが保たれているケースが多く、コミュニケーション支援が必要である。

・構音障害が軽い例であれば、カフ付スピーキングカニューレやカフ上部吸引機能からエアを流すことで発声が可能になることがある。

・どこかを随意的に動かすことが出来れば、コミュニケーション・エイドを使用し、意思を表出することが可能になるケースが多い。
HMV14

・実際の支援方法は本稿では記載しない。

7: 家族・介護職による喀痰吸引 
介護職は平成24年度以降、一定の研修・実習を行うことで喀痰吸引を行うことが可能になっている。

・HMV患者の場合は、「特定の者を対象」に喀痰吸引を行なうことが多く、それに対応した研修を受ける必要がある。

・都道府県ごとに、研修体制や必要な書類が異なる。

・社会福祉士及び介護福祉士法が改正され、平成27年度以降の国家試験合格者である介護福祉士の方々は、一定の条件の下で、喀痰吸引を実施することができるようになる予定である。

・「Sterile technique(無菌操作)」に要するコストは、「Clean technique(クリーンな操作)」よりも高額になる。
家族に清潔操作を指導しても、指導された通りに継続的に行うことができる家族は多くなく、自己流に変更されている。

[意見の分かれている問題点]
・気管内は清潔野ではないが、喀痰吸引を清潔操作で行うように指導されることがある。しかし在宅では「Sterile technique(無菌操作)」ではなく「Clean technique(クリーンな操作)」が推奨されている。(1)

・喀痰吸引に関する診療報酬は設定されておらず、吸引チューブなどコストを誰が負担するべきか意見が分かれている。

8: 介護的に破綻した場合のセーフティーネット
・現在の制度下では家族介護に頼らざるを得ない部分が大きい。

・療養期間は長期に渡ることが多く、介護にあたっている家族の高齢化や家庭環境の変化によって介護的に破綻することがある。

・介護にあたっている家族もケアされる立場にあることを念頭に置いて、介護体制のプランニングを行う必要がある。

・家族が100%の力を発揮しないと維持できない介護体制では、HMV患者本人・家族の体調不良で介護的に破綻する。家族の健康状態や家庭環境にも注意を払う必要がある。

・本人・家族とヘルパーの確執やヘルパー間の確執によって、ヘルパーが介護から撤退することもある。ケアマネジャー等のマネジメント役は十分に注意を払う必要がある。

・介護者の疾病などによる短期的な介護破綻もある。HMV患者は介護施設でのショートステイを利用することは不可能であり、医療機関で対応する必要がある。

・介護的問題での入院は、一種の社会的入院であると考えられ急性期病院では受け入れを断わられることもある。

・ALS等の難病患者では各都道府県を事業実施主体とする「重症難病患者入院施設確保事業」があり、入院施設の確保が計画されている。平成22年以降は、レスパイトケア入院のための病床も確保するような事業となっている。

・実際には、HMV患者の長期入院、レスパイトケア入院先を確保することは困難である。

(1):Care of the Child with a Chronic Tracheostomy(THIS OFFICIAL STATEMENT OF THE AMERICAN THORACIC SOCIETY WAS ADOPTED BY THE ATS BOARD OF DIRECTORS, JULY 1999):Am J Respir Crit Care Med Vol 161. pp 297–308, 2000
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