第一回北摂在宅医療症例検討会のご報告(3)

  • 2013.02.16 Saturday
  • 17:09
グループワークの目的は、
「意思決定プロセスを考える。」
「意思決定プロセスの多様性を知る。
とさせていただきました。

グループワークの内容です。

準備した症例は、「50歳代 男性 ALS」の方です。
------------------------------------------------------------------------------------------------
【提示した症例のサマリー】
発症から4年。四肢は動かすことは不可能。
24時間NPPVを使用。1年以上前の肺活量が10%未満(以後測定できず)。
 約1年前より呼吸苦に対してモルヒネを使用している(硫酸モルヒネ 15mg/日+レスキュー用 塩酸モルヒネ 5mg/回 適時)。
音声言語での意思表出は不可能で、開閉眼によるYes-No、意思伝達装置を使用している。

本人は、約1年前より一貫して気管切開・人工呼吸管理は行いたくないことを表明している。
 また肺炎などに罹患しても自宅で行える範囲での医療を受けることを希望されている。
妻は、夫の意向に添いたいと仰っているが、肺炎などで状態が悪化すると入院での加療を希望し、実行されている。
姉(近隣に住む。日々の介護には参加していない)は、一貫して気管切開・人工呼吸管理を希望している。
------------------------------------------------------------------------------------------------

^媚弖萃蠅亡慷燭垢襪海箸肪が関与すべきか?
 (誰がカンファレンスに参加すべきか?)
 (カンファレンスは必要ないと考えるか?)
設問1
当該ケースに関わっているサービス提供者を含めています。
娘さんのうちお一人は成人されており、お一人は未成年です。

多くのグループから出された結果は、
「職種ではなく、本人・家族との信頼関係の濃淡でカンファレンスに参加する人を選ぶべき」でした。
また「多人数」の方が良いか「少人数」の方が良いかは意見が分かれています。
「多人数」の肯定理由として「いろいろな人の意見が聞くことができる。」「自らが参加したカンファレンスで決定したものには、従いやすい」などがありました。
否定的理由として「多人数でのカンファレンスでは意見を集約することが困難」がありました。
「少人数」の場合は、「多人数」の裏返しで、肯定的理由は「意見が集約しやすい」、否定的理由は「意見が偏る可能性がある」でした。

参加者では一人だけ、「本人の意思は決定されているので、カンファレンスは必要ない」との意見を述べられた参加者がいらっしゃいました。

患者と家族の意見が分かれた場合に、
 医療者はどのような姿勢で臨むべきと考えるか?
 (誰に、どのような働きかけを行なうか?)

この設問は「セルフ・ネグレクトの可能性を考えているか?」「本人・家族がどのようなプロセスで、この結果に至ったか?」との回答が出てくることを期待した設問です。

全てのグループから「このような(治療を受けない)判断を下す結論に至ったプロセスを知る必要がある」「そのプロセスを、他の家族に話す必要があるのではないか」との回答がありました。

若い医師に同様に質問を行うと、多くの場合「本人が決めたことなので、それに従えば良いのではないでしょうか」との回答が出てくることを考えれば、今回の参加者は普段からこのような場面に直面し、自分たちの出来ることを考えていたから、このような回答が出てきたのではないかとも、思ったりしました。
当院に来られる研修医の先生方には、これからも同様の質問を行ってみたいと改めて思いました。

この時点で、事前指示書を書くことは適切であったか?
 □適切であった  
 □適切ではなかった
 (□事前指示書は必要ない □適切な時期に書く必要がある

すべてのグループから、本人の意思を活かすためには事前指示書は必要であるとの回答がありました。また指示書作成のためには、指示書は書き換えが可能であり、かつどの時期に書き換えるかを明確に説明する必要があると、いくつかのグループから回答がありました。
また一つのグループから、本人の意思表出が困難であるので、事前指示書を書く時期としては遅いのではないかとの意見も出されていました。

い海了点で、気管切開・人工呼吸管理が必要となった場合、
 気管切開・人工呼吸管理を行うべきか、否か?
 □行なうべきである  
 □行なうべきではない

この設問は、同じ患者であっても、関わる人によって違う結論に至ることを知って頂くための設問でした。

一つのグループは「気管切開する」、二つのグループは「気管切開しない」、二つのグループは「決められない」との回答でした。
予想通りというか、やらせではないかと思うくらいに綺麗に意見が分かれました。

神経難病に限らず緩和ケアは、本人・家族の思いや医療者の考え・哲学が入り込む余地の多い領域です。医療者は、自分の考え・哲学がどのような位置にあって、偏っていないかどうかを常に確認しておく必要があると思っております。

コメント
コメントする








    
この記事のトラックバックURL
トラックバック

calendar

S M T W T F S
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031
<< October 2020 >>

selected entries

categories

archives

recent comment

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM