抑鬱(BPSDの対処法)

  • 2012.11.21 Wednesday
  • 08:00
「抑鬱」という言葉は日常的に使用していますが、いざ定義しようとなると難しいです。

厚生労働省のホームページからの引用を以下に示します。
「憂うつである」「気分が落ち込んでいる」などと表現される症状を抑うつ気分といいます。抑うつ状態とは抑うつ気分が強い状態です。うつ状態という用語のほうが日常生活でよく用いられますが、精神医学では抑うつ状態という用語を用いることが多いようです。このようなうつ状態がある程度以上、重症である時、うつ病と呼んでいます。」

鬱病の診断基準(DMS-ICD-10)には、
・抑うつ気分
・興味と喜びの喪失
・活力の減退による易疲労感の増大や活動性の減少
が中核的な症状とされていますが、「抑うつ気分」自体があまり明確にはなっていません。

そして認知症患者では、認知症が進行が進行するにつれ気分を言語で表現することが困難となり、抑うつ気分を訴えることが少なくなってきます。
そのため、行動の変化で「抑うつ気分」を把握する必要性が高くなります。

また言語による質問でうつ病を診断することも、不可能になっていきます。

なので「何となく元気がない」状態で、かつアパシーを否定した場合を「抑うつ」と判断しています。

【病期・基礎疾患による抑鬱の特徴】
抑うつ気分は、ADでは40~50%の頻度で認められるとの報告があります。
抑うつ状態は認知症の初期の段階で認めやすいとされています。
記憶障害などを自覚することや、介護者(家族)により指摘・非難されることが影響すると考えられています。

うつ病は、VDでは多く認められると報告されていますが、病巣そのものが関連していると考えられています。
ADでは10~20%の頻度で認められると報告されています。認知症発症前にうつ病の既往がある場合は、無い場合と比較して、高頻度にうつ病を発症します。

【抑鬱への対処法】
認知症が初期であり、言語によるコミュニケーションが良好であれば、うつ病の診断は容易です。
認知症が進行するにつれ、診断は困難になっていきます。
特にADの場合には、アパシーが認められるようになり鑑別が必要になります。

〜缶姪に抑うつ気分があり喜びが失われている
⊆虐的なことを言って死にたいと表現する
うつ病の家族歴や認知症発症前の既往がある
のいずれかがあれば、抑うつ性障害と考えるようにしていますが、
前述したように「何となく元気がない」状態で、かつアパシーを否定した場合を「抑うつ」と判断しています。

基本的な対処法は「不安な状況にさせない」です。
非難・叱責はもちろん、励ましたり、気分転換や楽しみを与えようとして無理に活動させないことが必要です。
つまり見守ることが必要なのですが、ついつい介護者はなんらかの干渉をしてしまうことが多いです。そのために介護者に理解してもらうこと必要となります。

抑うつ気分は、一定期間で終息することが多いので食事摂取量が減少しない(減少したとしても程度が軽い)場合は、様子観察のみで良いと考えています。

食事摂取量が極端に減った場合、抑うつ状態が2週間以上持続する場合には薬物療法が必要です。

【抑鬱への薬物療法
従来の抗うつ薬と比較して、副作用が少ないことからSSRIやSNRIが第一選択として使用することが多いです。
また、アルツハイマー病治療薬によるBPSD治療に記載したようにアリセプトの開始・増量も選択肢の一つになります。

私の場合は、アリセプトを使用していない場合や3mgを使用している場合は、アリセプトの開始・増量を考えます。
アリセプトを5mg以上使用している場合は、SSRIやSNRIの使用を考えます。
睡眠障害を伴う場合には、デジレル(SNRI)を使用し、
睡眠障害がなく軽度の場合は、パキシル(SSRI)、重度の場合はジェイゾロフト(SSRI)を使用するようにしています。
食事摂取量がある程度、保たれており時間的余裕がある場合は、少量から開始し漸増。
時間的余裕がない場合には、常用量から開始し、その後に量の調整を行うようにしています。
コメント
コメントする








    
この記事のトラックバックURL
トラックバック

calendar

S M T W T F S
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031
<< October 2020 >>

selected entries

categories

archives

recent comment

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM