グループホームにおける認知症診療の実態(3)

  • 2012.10.22 Monday
  • 09:00
【結果2】
当院初診までに認知症専門医(精神科医、神経内科医含む)による診断を受けていた患者は47人(43.1%)であった。
医療機関が特定できていない場合には、「なし」に分類している。

【考察2】
当院初診までに認知症専門医(精神科医、神経内科医含む)による診断を受けていた患者群と受けていなかった患者群では、周辺症状に対する薬物療法の頻度に差があった以外に、原因疾患や周辺症状に関して大きな差はなかった。
認知症発症からグループホーム入所まで期間は、専門医の診断を受けた患者群では4.76年で受けていない患者群では4.95年であり、専門医の診断は介護施設入所までの期間は延長させないと考えられた。


【結果3】
グループホーム入所直前に診療を受けていた医療機関はスライドに示す。
診療科では内科 66(診療所 54、病院 12)が最も多く、精神科22(診療所 1、病院 21)、その他11(診療所 1、病院 10)、神経内科・脳神経外科7(診療所 1、病院6)、老健3の順となる。
複数の医療機関に受診していた場合には、認知症中核症状・周辺症状に対する投薬を行っている医療機関を選択している。

入所直前に診療を受けていた医療機関(診療科)

【考察3】
グループホーム入居前の認知症高齢者の49.5%の診療は内科診療所が担当していた。
中核症状に対して抗認知症薬の投与は26.4%で行われていた(全体で27.8%)。しかし周辺症状に対する薬物療法は37.5%でしか行われていなかった(全体で53.5%)。病院の内科系の診療科でも周辺症状に対する薬物療法は37.5%でしか行われていなかった。
内科系医師は認知症高齢者の診療を担当しているが、主として内科診療を行っており認知症診療は十分に行われていない可能性がある。
精神科が診療を行っていた認知症高齢者22人のうち21人は周辺症状を認めており、18人(85.7%)で薬物療法がおこなわれていた。

周辺症状が認められれば、精神科(認知症センター)を受診する動機となっていると考えられる。

精神科が診療を行っていた場合は、認知症発症からグループホーム入所まで期間は 5.39±4.93年、精神科以外の診療科が診療を行っていた場合は4.72±4.20年であった。
有意差はなかったが、精神科医師が関与し適切な薬物療法を行うことで介護施設への入所を遅らせることが出来る可能性を考える。

しかし精神科医師の数にも限りがあり、内科診療所医師が周辺症状に対する薬物療法を行うことが出来るようになれば、自宅での療養期間が延長する可能性があると考える。



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