幻覚(BPSDの対処法)

  • 2012.10.09 Tuesday
  • 08:00
幻覚は「現実の外的刺激に関連しない間違った知覚認知」と定義されています。(認知症テキストブック)
幻覚体験には妄想的説明を伴う場合があります。

【病期・基礎疾患による幻視の特徴】
幻視は軽度や重度よりも中等度に多く認めます。
基礎疾患としては、レビー小体型認知症(DLB)に多く(約80%)認められます。
 DLBでは、初発症状として幻視を認めることがあります。
アルツハイマー病(AD)では、約20%に認めるとされています。

【幻覚の種類】
五感(人間の感覚はおおよそ9種類に分類されていますが、便宜的に使用しています。)以外にも、「実際は誰もいないのに誰かがいるような気配を感じる」などの幻覚を訴える方もいらっしゃいます。(これは幻覚に分類すべきものか、妄想に分類すべきかは疑問の余地はあります。)

当院の自験例では、
幻視 > 幻聴 >> 幻触覚(2人) > 幻気配(1人)であり、
 幻臭、幻味は経験したことがありません。
教科書的にも幻覚のなかで幻視(約30%)が最も多いとされています。
 幻聴は約3〜10%に認めるとされており、その他の幻覚は稀とされています。

幻視の頻度は、人 > 虫(黒い点) > 小動物した。
小動物の中では、犬、猫、蛇が多く、最も大きい動物は鹿でした。

人、小動物(色彩あり)と虫(黒い点、黒い人影を含む)は発症機序が異なっていると考えています。(←自験例よりの印象です。テキストにはあまり機序は載っていません。)

人、小動物(色彩あり)を中心とした幻視は、
 ・一次視覚野(後頭葉内側)の機能低下によって二次視覚野へ送られる信号が減少する。
 ・二次視覚野は見たいものを見始め、これが幻視となる。
 と考えられています。
DLBでは一次視覚野の代謝が低下していることが多いのですが、
ADでは、一次視覚野の代謝は保たれることが多いです。
つまり、このタイプの幻視はDLBに多く認められます。
これに関しては、論文は多数出ております。
 
虫(黒い点、黒い人影を含む)を中心とした幻視は、
 L-dopa製剤等の抗パーキンソン病薬内服時に認められるものと似ており、
 ・ドパミンの過剰に伴う幻視
 と考えています。

【幻覚への対処法】
介護者への説明がポイントとなります。
 ・内容が被害的なものでない場合や、本人に不安がなければ介入は不要です。
 ・幻覚を否定することは意味がないばかりか、害がある場合が多いので、
  否定しないようにしましょう。
 ・本人は幻覚と気付いていないことがあります。
  つまり「幻覚がありますか?」という質問では、幻覚の有無は確認できないということです。

幻覚の有無は介護者に「何かあなたに見えないものが見えていたり、聞こえないものが聞こえている様子はないですか」と確認する必要があります。
そして、「怖がっている様子や、不快を訴えることはないですか?」と質問することで、内容が被害的なものでないことや、本人に不安がないことを確認する必要があります。

視覚失認に関連した幻視、誤認の場合は、照明の最適化が重要になります。
 夜、眠るときに照明を消さないだけで幻覚と思われていたものが消失することがあります。

内容が被害的なものの場合や、本人に不安がある場合は薬物療法を考慮します。
 ・人、小動物(色彩あり)の幻視の場合(またはDLBを疑う場合)は、アリセプトを使用
 ・虫(黒い点、黒い人影を含む)の幻視、幻聴の場合は、向精神薬(リスパダール、セロクエル等)を使用

但し、アリセプトはDLBに保険適応はありません。
 DLB患者に抗精神病薬を使用する場合は、抗精神病薬の感受性亢進を認めることがありますので、少量から開始することをお勧めします。


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