ALSにおいて気管切開・人工呼吸管理はどの程度の期間になるのか。

  • 2014.03.18 Tuesday
  • 07:00
ALSの方の診療を行っていると、「気管切開・人工呼吸管理を行うか否かを決める」ための意思決定を支援する場面は避けて通ることは出来ません。

その中で、介護を担当するご家族からは「どの程度の期間」という質問が少なくありません。
最近は、呼吸理学療法やカフアシストの導入などで、肺炎の頻度が減少し、これまで治らないと思っていたレベルの肺炎が治るようになった印象を持っていました。

-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
ALS診療ガイドライン2013より
呼吸器装着後の生存についての国外からの報告はNPPV (noninvasive positive pressure ventilation)も含まれており、TPPV (tracheostomy positive pressure ventilation)のみのデータは乏しい.
本邦の全国調査では,TPPV 例の生存期間(平均49.1 カ月)はTPPV 非施行群(平均35.8 月)に比して有意に長かった.
(桃井浩樹,進藤政臣,柳澤信夫ら.本邦における筋萎縮性側索硬化症の病勢経過 −厚生省特定疾患神経変性疾患調査研究班調査より−.神経進歩 2004;48: 133-144. (b))
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------


当院のデータです(対象124人、TPPV施行群 30人、TPPV非施行群 94人)
対象者は、前の記事と同様で、300ヶ月を超える2ケースは除外しています。

罹病期間4
当院の生存期間はこの報告と比較すれば、かなり長期化していることがわかります。
当院のデータでも、TPPV施行群の方が有意に長いです。
当院が罹病期間などの「期間」を調査した場合、これまでの報告より長くなる傾向にあります。
このような報告は、専門病院や一般病院からの報告が主になります。
専門病院・一般病院と当院を比べると、
・在宅医療開始までに死亡してしまったケース(短期例)が、当院のデータに反映されない
・専門病院・一般病院では死亡まで追跡することが困難で、長期例が専門病院・一般病院に反映されない
ためと考えています。


TV期間

平均値、中央値ともに約7年です。
これまでTPPVを開始する際には、「5年間はやっていける準備はしましょう」と本人・家族にはお話していたのですが、これからは「7年間はやっていける準備はしましょう」と話さないといけないかと考えています。

家族介護者数
一方、TPPV施行群での同居している家族介護者数です。
他の疾患でも同様なのですが、とにかく家族介護者数「1」が多いのです。
家族介護者数「0」のお二人は、最終的に長期入院されています。

本人が希望すれば、TPPV導入することが可能な社会であって欲しいのですが、この家族介護者数では「公助」に頼らざるをえない現実もあります。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)の罹病期間

  • 2014.03.16 Sunday
  • 08:00
先日のケースカンファレンスで、「球麻痺先行型のALSの症状進行は早い」との話題が出て、先日の研修会で「上肢型の進行は遅いわけではありません」と話したことを合わせて、当院で診療したALSの方の罹病期間を振り返ってみました。

【対象】
当院で診療(在宅医療)を担当したALS患者126人。

【方法】
初発症状により球麻痺型、上肢型、下肢型に分類。
呼吸筋麻痺に由来する症状が初発症状であったケース、初発症状が複数の領域に跨っているケースは、今回は除外。
長期入院している場合には、最終的に確認した日付を最終日とした。

【結果】
罹病期間1
除外する前の126人での罹病期間(死亡もしくはTPPV導入まで)です。
平均 60.1ヶ月、中央値 46.1ヶ月です。

罹病期間2
発症後300ヶ月以上経過した2ケースを除外した評価です。
1ケースは360ヶ月経過し、球症状、呼吸筋麻痺症状を認めておらず、
もう1ケースは320ヶ月経過し、構音障害はあるものの、嚥下障害・呼吸筋麻痺を認めていないことから、
今回の評価からは除外しています。
1ケースはすでに亡くなられているので、検討しようがないのですが、もう1ケースは現在も診療を継続しているので、
診断の再評価を行うかどうかを検討しても良いと思っています。
平均 50.2ヶ月、中央値 45.3ヶ月です。

罹病期間3
これまで、私が持っていた考え(文献的)は「球麻痺型」<「上肢型」<「下肢型」でした。
15年ほど前に読んだものに基づいた知識なのですが、整理が悪くて出てきませんでした。

今回の調査では、「球麻痺型」=「上肢型」<「下肢型」でした。
直接の死亡原因を調査し、考察を加えてから、どこかで発表しようと思います。

 


 

施設での在宅医療について考えてみた(1)。

  • 2014.02.13 Thursday
  • 08:00
下のグラフは中医協で(診療報酬側の)委員から提出され使用された資料にあるものです。
看取り場所が不足するとの推計です。
死亡場所1
下のグラフは、それを受けて厚生労働省が中医協に提出した資料にあるものです。
容量オーバーをそのまま「その他」に繰り込み、グラフの中に持ってきています。
俗に言う「看取り難民」は作らないとの思いで作成されたグラフだと思います。
死亡場所2
この「その他」は何かというと介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)等の既存の介護施設ではない「サービス付高齢者住宅」等だと、考えられていました。

当院の診療域は全国的に見ても、高齢者単身世帯の多い地域です。当院が診療を担当している施設にいる患者さんの86%は入所前は独居でした。つまり介護施設がなければ、独居生活を余儀なくされたということです。介護施設での在宅医療提供は、地域医療にとっては必要なことなのです。
「自宅での療養を支えることこそ重要だ」との意見をお持ちの方も少なからずいらっしゃると思いますが、当院で診療を担当している方々は、認知症周辺症状やパーキンソン病症状のために常時介護(見守り)が必要なので、巡回型では対応できません。
 
また「看取り」は医師が死亡確認を行なうのみではなく、日々の生活を支えるための診療(多くは認知症の周辺症状やパーキンソン病の症状コントロール)を行なうことで、本人・家族・ケアスタッフとの関係を構築します。
その関係性を築いた上で、今後、どのような症状が出て、どのように対処していくかを具体的にお話しながら、看取りに対する心構えをしていただくことになります。

平成20年度の当院で行なった調査では、診察時間、移動時間、処方箋やカルテ記入時間、日々の申し送り等などを含んだ
在宅患者の訪問診療1回にかかる時間は63分であり、施設患者では46分でした。
 
最近のケアスタッフは若い人が多く、自身の家族を看取ったことの無い人がそれなりにいらっしゃいます。
そのために「看取る」ことをケアスタッフに受容してもらうための研修は必須だと考え、この5年間は年数回 開催してきました。
最も多かった年度は、施設ケアスタッフ向け研修会は28回に及んだこともあります。

当院は、現在12ヶ所の介護施設(グループホーム、特定施設、サ高住)で診療を行っていますが、うち3ヶ所は1人ずつ、入居者全員の診療を担当している施設は現在のところ一つです。残りの多くも10人未満の施設が多いです。施設側は認知症周辺症状のコントロールが困難なケースや、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症等の神経難病のケースを選んで、当院へ診療依頼されます。

当院のようなクリニックもある中で、施設専門クリニックの診療スタイルに合わせた診療報酬体系を設定されると、困ります。
今後はこれまでの診療スタイルを維持することは事実上、不可能だと考えます。
と愚痴ばかり言っていても始まらないので、介護施設の人たちと、どのような診療を提供していくかを考えてみることとしました。
とりあえず来週、「平成26年度の診療報酬改定に備えて」とのタイトルで、介護施設の施設長やスタッフの人たちと飲み会してきます。

大阪における在宅看取り

  • 2014.01.19 Sunday
  • 08:00
大阪大学医学部が中心となって、北摂7市(池田市、箕面市、豊中市、吹田市、茨木市、摂津市、高槻市)における急性期病院と在宅医の連携をどのように行うかを話し合う連絡会が持たれています。
この連絡会は、在宅医が急性期病院に入院を依頼する場合の問題点を抽出し、どのように解決していくかを建設的に話し合うことに焦点をあてていることです。

在宅医側からは、
・在宅患者の入院の実態調査(←これは3月の第16回在宅医学会大会 浜松で発表します)
・大阪府における在宅看取りに影響を与えている要因の抽出
を行う予定です。

急性期病院側からは、
・救急入院の実態調査(連携室、救急外来を経由したもの)
を行って頂く予定です。

いい機会ですので、大阪における在宅看取りについて、考えてみることにしました。
在宅看取り
左側は市町村別の在宅看取り率です。青色は大阪府の平均(18.2%)を超える市町村。赤色は全国の平均(16.1%)を下回る市町村です。最も高いのは河南町(人口 1.7万人)で25.2%、最も低いのは熊取町(人口 4.5万人)で9.3%です。
左側は人口1万人あたりの在支診・在支病(以下、在支診)数です。青色は大阪府の平均(2.1ヶ所)を超える市町村です。赤色は在支診のない市町村です。
ちなみに河南町に在支診はありませんし、熊取町には人口1万人あたりの在支診は2.2ヶ所で大阪府の平均を超えています。

北摂7市では、豊中市(22.6%)、池田市(20.3%)、吹田市(20.0%)、箕面市(18.7%)、高槻市(16.7%)、茨木市(14.3%)、摂津市(14.1%)であり、北摂7市といっても一括りにはできない印象です。

また各市町村の看取り率と以下のデータは相関がありませんでした。
・人口当たりの在支診数
・人口当たりの在宅患者数
・在支診が関わった全死亡患者率(在支診の関わった全死亡患者数/全死亡患者数)
・在支診が関わった自宅死亡患者率(在支診の関わった自宅死亡患者数/自宅死亡患者数)
・在支診が関わった施設死亡患者率(在支診の関わった施設死亡患者数/施設死亡患者数)
・在宅患者あたりの往診回数
・人口当たりの往診回数

在支診が患者数や看取り数は、その市町村にある在支診が診療を担当した患者数であり、その市町村のデータと直結するものではありませんが、近似値と考えて良いと思っております。
それは当院は近隣市の患者さんの診療を担当させていただいておりますが、近隣市にある在支診も当院のある豊中市の患者さんを担当しているためです。
また死亡場所のデータは最新のものが平成22年度のものであり、平成25年7月の在支診のデータを用いて処理することには無理があります。
 
(看取りに関しては大阪府が公開している平成22年度のデータを使用)
(在支診に関しては、近畿厚生局へ資料公開請求を行い入手した平成25年7月のデータを使用)
※在宅看取り:死亡場所が自宅と老人ホームであったもの。主に在宅医が看取りに関わるものを想定していますので、介護老人保健施設は入っていません。

市町村単位で見た場合、看取り率に影響を与えていると考えられる在支診に関するデータは見つけられませんでした。
次は在支診に焦点をあててみたいと思います。

研修医より寄せられた感想

  • 2013.07.12 Friday
  • 08:00
当院は近隣の病院で研修されている研修医を受け入れております。
期間は、1ヶ月です。
主に、訪問診療に同行していただくのですが、一ヶ月の間に訪問看護、訪問リハビリテーション、レスパイトケア病棟の研修も行なっていただいています。
患者さん・ご家族さんのご協力を受けて、家族実習(患者さんのお宅に一日滞在して、家族として介護を行なう)も行なっていたのですが、最近はご協力していただけるご家庭が少なく、行なえておりません。

以下は、当院で研修を終えられた研修医より寄せられた感想の抜粋です。

訪問診療は、学生時代に地域医療のポリクリで、地方の開業医の先生の元で1日だけ見学して以来のものであった。研修前、これまで抱いていた在宅医療・訪問診療に関する私のイメージは、1日数件の患者を回り、高齢者とふれあい、のんびりと時間が流れるといった、ほんわかしたものでした。
研修を受けていて、このイメージは間違いではないものの在宅医療の一面しか見ていなかったことに気付きました。医療資源・環境の整っていない状況で診療しなければならない厳しさや、患者一人一人の家庭県境に入り、それぞれに合わせた医療を提供する必要がある在宅医療が、いかに大変かということを知りました。そして、普段病院で診療することがいかに恵まれた環境であるかを強く感じました。
発熱している患者を例にすれば「血培2セット、採血、尿検査、胸部XP」をオーダーし、緊急を除けば時間もあり、気軽に他の医師に相談できる一方、訪問診療では、基本的にその場で判断し、十分に検査できない中で、理学所見を中心に診断し、治療を行なわなければならないのである。このことについて質問すると、パターンは比較的限られているとの答えであったが、経験がないと出来ないことだと感じた。
在宅医療らしい問題として、点滴を誰が更新するのか、誰が抜針するのかなど、他の在宅サービスと連絡を取りながら決めていく必要があり、病院内では考えられないようなストレスがあるのも確かであった。

同じ訪問診療・在宅医療でも疾患が違えば経過も異なり、対応も大きく変わってくることを学んだ。改めて考えてみれば当然のことだが、「在宅医療」という分野で捉えていたせいもありそこまでの違いについて考えていなかった。在宅医療と聞くと終末期医療、ターミナル患者を扱うことが多いと、その時に私を含め多くの一般の方がイメージすると思われる。しかし神経内科クリニックで診療している神経難病患者では、診療期間が年単位であることが珍しくない。同じ法人の大阪北ホームケアクリニックでは悪性腫瘍の終末期ケアを中心に診療されており、その診療期間は数日から数週間の方が多いとのことであった。これらの経過の違いを理解し、患者が今どういった状況・段階にいるのかを把握する力、ある程度見通しを立てる力も在宅医には求められていると思われた。
また科を絞ることなく全身を診る力が必要で、自分の専門科以外に多岐にわたって診察・処置をしなければならず、そういった点でも在宅医に求められる臨床能力は非常に高いものだと思われた。

この研修で、多くの神経難病患者の診療を担当させていただいた。中には「今後、君が臨床をしていて、二度と診ることがないであろう疾患」という疾患も数多くあった。国家試験勉強でさらっと目にしただけで、馴染みのない疾患もあり、非常に新鮮であったと同時に、世間には神経難病に苦しむ人がこれほど多く居たのかと、驚かされたのが正直なところであった。

想像していたよりも、介護に当たっておられるご家族に悲壮感があまりなかったことが、大きな驚きであり、印象的であった。しかし、いつ急変があるかもわからず、経済的負担を含めた様々な負担・不安が大きい中で看病・看護を続ける家族の大変さは計り知れないと感じた。

研修初日に藤田先生は「君達が病院から退院させた患者がどのような生活をしているかを知ることは、君達が行なってきた病院での医療の答えあわせをすることです」と仰っていた。この1ヶ月の研修を通して、自分なりに退院後の患者の生活がイメージできるようになったと思う。

当初の地域研修の目的とは違うが、この一ヶ月の研修で最も勉強になったことは「世の中には様々な家庭環境・境遇があり、人によって様々な考え方があること」を知ったことであった。

見学者からのご報告

  • 2013.06.30 Sunday
  • 07:00
当院は、医師、看護師、療法士などの見学を受け入れております。
ご希望の方はご連絡ください。

今回は、これから訪問服薬指導を開始したいと考えておられる、近隣の調剤薬局の担当薬剤師さんが見学にこられました。

その時の感想の一部抜粋です。
---------------------------------------------------------
昨日はお忙しい中、往診の同行をさせて頂きありがとうございました。

見学の中で印象的だったのは、グループホームのAさんの診察でした。

口の不随運動の原因を様々な角度から考察し、原因として1.エビリファイの副作用、2.歯がないこと、 3.高齢からを挙げ、スタッフさんへの食事でのゼリーのアドバイス、エンシュア希望に対しては誤嚥の高リスクの説明、認知症患者の介護は介護する側の自己満足であるというお話、なるほどと思う事ばかりでした。


また、在宅医療に対する知識不足、勉強不足を痛感しました。情けないと思いました。

先行してる薬局に打ち勝てない、全くその通りです。

先生にもお話したように、居宅療養の現状として薬を配達するだけという事もあります。

先生から薬剤師として、医師に言えないような相談、薬が飲めない、飲みたくない理由があれば聞いて医師にフィードバックして欲しいと言われました。その為には、患者さんと信頼関係を築くことが大事だと思います。

医師は薬の剤形を殆ど知らないこと、胃瘻の患者と経鼻チューブをしている患者と薬の選択が変わること(通りやすさ、粘り具合)を聞き、もし患者が服用できないことがあれば、剤形変更の提案、粒子の大きさ、粉砕の可否も薬剤師の仕事だと思いました。

1日を通して、初めて見ることばかりでとても勉強になりました。また車内でも様々なお話を聞くことが出来ました。教えて頂いたことをスタッフにフィードバックしたいと考えています。

同行させて頂きありがとうございました。


 

【書籍紹介】治療(南山堂)

  • 2013.02.22 Friday
  • 08:00
治療(南山堂)「在宅医療の極意:かかりつけ医が実践する在宅医療のあるべき姿」

治療
特集の目次

今月の視点(和田忠志)

■医師の在宅医療

高齢者総合機能評価(葛谷雅文)

在宅医療現場での外傷の対応 (市原利晃)

在宅医療現場での褥瘡への対応 (堀田由浩)

医療・介護関連肺炎 (斉藤康洋)

認知症の在宅医療 (苛原 実)

BPSD の在宅医療 (藤田拓司)

難病の在宅医療 (田島和周)

排尿・排便の在宅医療 (亀井 修)

最期までの支援の考え方 (長尾和宏)

在宅医療における緩和ケア 捕崢亡墨臓 (三宅敬二郎)

在宅医療における緩和ケア◆碧椰諭Σ搬欧鮖戮┐覽蚕囘側面) (田村 学)

歯科の在宅医療 (花形哲夫)


■医師以外の専門職

在宅医療における薬剤師の役割 (川添哲嗣)

在宅医療における訪問看護師の役割 (和田博隆)

在宅医療における福祉用具活用のコツ (保田淳子)


■医学教育

研修医・学生教育 (遠藤光洋)


すんなりわかる

実践!在宅医療の極意(一ノ瀬英史)


■医療連携・多職種連携・地域活動

退院支援と医療連携 (川崎浩二)

在宅リハビリテーション ─ PT・OT・ST に何をどう依頼するか─ (藤井博之)

がん終末期患者の退院から在宅看取りまで ─ 多職種の連携を通して─ (山岡憲夫 他)

在宅患者の虐待の診かたと対応の仕方 (和田忠志)

在宅医療と連携パス (岡田晋吾)

佐久総合病院の在宅医療 (小松裕和)

療養担当規則(その3:介護施設でのリハビリテーションについて)

  • 2013.01.19 Saturday
  • 08:00
訪問リハビリテーションの給付については(その2)を参照してください。

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)や特定施設(特定施設入居者生活介護)等の介護施設に入所されている利用者さんは通常、介護保険を利用しておられます。
そしてこれらの介護施設に入所されている場合、居宅療養管理指導など一部の例外を除けは他の外部からのサービスを利用することは出来ません。

つまり介護保険を利用した訪問リハビリテーションは利用できません。

スライドに示すように、訪問看護が医療保険の適応となる厚生労働大臣が定める疾病等に該当するの患者さんが訪問看護ステーションの療法士による訪問看護(訪問リハビリテーション)のみが、介護施設で提供可能な訪問リハビリテーションになります。(急性増悪時は除く)
診療報酬4
○(※2:要介護被保険者でない患者) ← ×(※2:要介護被保険者である患者)

上のスライドに示す様に、歯科診療所からは医療保険での訪問リハビリテーションは行えません。それは下に示す2枚のスライドが根拠です。
医科診療報酬に設定されている在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料が歯科診療報酬には設定されていないためです。
診療報酬1診療報酬2
要するに現在の医療・介護保険制度下では、在宅患者(一部の介護施設に入所されている方を含む)に対しては歯科診療所から、医療保険での訪問リハビリテーションは行えません。

しかし、一部の歯科診療所は在宅患者、一部の介護施設へ入所している患者に対し、自宅や介護施設内でリハビリテーション(主として嚥下リハビリテーション)を行い、診療報酬を請求しています。
請求している診療報酬は(H000)脳血管疾患等リハビリテーション料、(H001 摂食機能療法)です。
しかし07部 リハビリテーションは病院・診療所内でリハビリテーションが行われた時に請求する診療報酬(患者が病院・診療所へ外来通院した時に受けるリハビリテーション)であり、自宅や介護施設内でリハビリテーションを行った場合に算定できないものです。

診療報酬3

当院が訪問診療を行なっている患者さんのいる介護施設で、訪問歯科診療を行なっている歯科診療所の言語聴覚士がリハビリテーションを行なっていることを知りました。
我々としては、介護施設で行われているリハビリテーションであるので請求すべき診療・介護報酬は訪問リハビリテーションと考え、介護保険では請求出来ないのではないかと、歯科診療所へ問い合わせを行いました。
歯科診療所よりの返答は医療保険の「疾患別リハビリテーション」で算定しているとのことでした。診療所外でのリハビリテーションであるので、訪問リハビリテーションの適応であるし、疾患別リハビリテーションは算定できないのではないかと指摘したところ、近畿厚生局の了解は得ているとの返答でした。

近畿厚生局が「介護施設入居中の患者にい対して施設内で行ったリハビリテーションに対して07部リハビリテーションの疾患別リハビリテーション料を算定して良い」と判断したとすれば、その判断は誤りであると考えております。
それが誤りでなければ、歯科診療所のみならず医科診療所から療法士を介護施設に派遣し、リハビリテーションを行った場合に、疾患別リハビリテーション料が算定出来るとことになります。

療養担当規則(その2:訪問リハビリテーションについて)

  • 2013.01.18 Friday
  • 08:00
訪問看護と同様に、医療保険・介護保険の双方に報酬が収載されている訪問リハビリテーションでも、利用に際して混乱が認められていますので、整理してみたいと思います。


7 訪問リハビリテーションに関する留意事項について
「在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料は、要介護被保険者等である患者については、原則としては算定できないが、急性増悪等により一時的に頻回の訪問リハビリテーションの指導管理を行う必要がある場合には、6月に1回、14日間に限り算定できる。」
(以上、抜粋おわり)

つまり介護保険を利用されている方への訪問リハビリテーションは、原則的に介護保険が適応されます。

しかし介護保険を利用されている方でも、訪問看護に医療保険が適応される「厚生労働大臣が定める疾病等」の患者さんに対する、訪問看護ステーションからの療法士による訪問リハビリテーションは訪問看護の一類とされているために医療保険の適応となります。(訪問看護基本療養費)

繰り返しになりますが、介護保険を利用されている方への医療機関(病院・診療所・歯科診療所)、介護老人保健施設からの訪問リハビリテーションはすべて介護保険が適応されます。
(急性増悪時を除く:上記抜粋を参照してください)


厚生労働大臣が定める疾病等
・末期の悪性腫瘍
・多発性硬化症
・重症筋無力症
・スモン、
・筋萎縮性側索硬化症
・脊髄小脳変性症
・ハンチントン病、
・進行性筋ジストロフィー症
・パーキンソン病関連疾患
  進行性核上性麻痺、
  大脳皮質基底核変性症
  パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上であって生活機能障害度が凝挧瑤廊慧戮里發里妨造襦)
・多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症、シャイ・ドレーガー症候群)
・プリオン病
・亜急性硬化性全脳炎
・後天性免疫不全症候群
・頸髄損傷
・人工呼吸器を使用している状態

療養担当規則(その1)

  • 2013.01.17 Thursday
  • 08:00
当院は、毎年数人の臨床研修医を受け入れています。
初日に、研修医に対して必ず聞いていることは、
「この1年間に何本の論文を読んだか?」
「医師法、医療法、療養担当規則を読んだことがあるか?」
の2つです。

一部の自費診療のみを行う医療機関を除けば、本邦にある殆どの病院・診療所は保険医療機関です。
つまり病院・診療所で医療を行っている殆どの医師(臨床研修医を含めて)が保険医であるはずなのですが、療養担当規則を読んだことがある研修医は未だ当院へきたことはありません。

医師法・医療法・療養担当規則は、保険医療機関で医療を行なう上で、必要最低限のルールですので、読んでおいて欲しいと思っています。

以下、保険診療の理解のために(医科)よりの抜粋です。

1 保険医、保険医療機関
(1) 保険医とは
健康保険法の 規定により 「保険医療機関にお いて健康保険の診療に 従事する医師は、厚生労働大臣の登録を受けた医師でなければならない。」(健康保険法第 64条)とされている。
(2) 保険医登録とは
医師国家試験に合格し、医師免許を受けることにより自動的に保険医として登録されるわけではない。
医師が保険診療を担当したいという自らの意思により、勤務先医療機関の所在地(勤務していない場合は住所地)を管轄する地方厚生(支)局長(所在地を管轄する地方厚生(支)局の事務所がある場合には、当該事務所を経由して行う)へ申請する必要がある。
また、申請後交付された保険医登録票は適切に管理し、登録内容に変更が生じた時には速やかに(変更の内容によっては保険医登録票を添えて)届け出る必要がある。 (健康保険法第 71条)

2 医療機関と保険医療機関
医療機関である病院、診療所は、医療法で規定されている、公衆又は特定多数人のための医業を行う場所である。
保険医療機関は、健康保険法等で規定される療養の給付を行う病院、診療所であり、保険医療機関は、病院、診療所の開設者の申請により厚生労働大臣が指定する。
保険医療機関は療養担当規則で定めるところにより、療養の給付を担当しなければならず、療養の給付に要する費用の額は、厚生労働大臣が定めるところにより算定する。

保険医・保険医療機関の責務
「保険医療機関において診療に従事する保険医は、厚生労働省令の定めるところにより、健康保険の診療に当たらなければならない。」(健康保険法第 72条)とされている。
ここでいう厚生労働省令が「保険医 療機関及び保険医療養担 当規則(療養担当規則)と呼ばれるものであり、保険診療を行うに当たって、保険医療機関と保険医が遵守すべき基本的事項を定めたものである。

(中略)

2 保険診療の基本的ルール

○ 保険診療は、健康保険法等の各法に基づく、保険者と保険医療機関との間の「公法上の契約」に基づいている。
○ 保険医療機関及び保険医であるということは、健康保険法等で規定されている保険診療のルール(契約の内容)を熟知していることが前提となる。
○ 保険医が保険診療を行うにあたっては、保険診療のルールを遵守する必要がある。

保険診療として診療報酬が支払われるには次の条件を満たさなければならない

保険医が
保険医療機関において
健康保険法 、医師法 、医療法 、薬事法等の各種関係法令の規定を遵守 し
『療養担当規則 』の規定を遵守 し
医学的に妥当適切な診療を行い
診療報酬点数表に定められたとおりに請求を行っていること

以下は、疑義の部分です。
「∧欷碓緡典ヾ悗砲いて」・
 時に「保険医が、保険医療機関に所属して」と解釈される場合がありますが通常、保険医療機関としての病院・診療所内で行なわれるものと解釈されています。
 つまり患者宅・介護施設で行われる在宅医療は、保険診療においては特例とされており、第2章-特掲診療料第2部 在宅医療に収載されているもののみ(検査等を除く)算定可能と解釈されています。

calendar

S M T W T F S
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930 
<< November 2018 >>

selected entries

categories

archives

recent comment

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM