院内症例検討会(平成26年04月)

  • 2014.04.15 Tuesday
  • 08:52
当院は複数の医師(常勤 3人、非常勤 3人)、看護師(常勤 18人、非常勤 2人)、療法士 5人等で在宅医療(訪問診療、訪問看護、訪問リハ)、レスパイトケア入院を提供しています。
複数のスタッフで関わりを持つ場合、スタッフによって患者さんへの関わり方に対する考えが異なることがあります。みんなで同じ方向を向いて患者さんを支えるために、院内スタッフでカンファレンスを行っています。
またカンファレンスは、困難事例では他のスタッフにアドバイスを求める場としても活用しています。

原則的に、毎月開催しておりますが、個人が特定されてしまう可能性が高い場合や、公開することで影響が大きすぎると考えられる場合は、ブログにはアップしておりません。今回も、実際に使用した薬剤などに関しては記載を控えています。
今回は久しぶりのアップです。

 
【問題点】
介護施設でALS患者の緩和ケアを行う時の問題点

70歳代 女性 筋萎縮性側索硬化症 NPPV、酸素療法、胃瘻
当院が係るようになって1年半が経過しています。
当初は、旦那さんと二人暮らしで種々のサービスを受けながら自宅で過ごされていました。
同年代の旦那さんの認知症が進行し、介護施設へ入所されることになり、自宅での療養継続が困難になりました。
そのため、本人も介護施設へ入所することになりました。

介護施設入所時の、ご本人の意向は
「とにかく痛みを取ってほしい」

「喋れなくなってもいいので早く楽になりたい」
「呼吸器はつけたくない」
でした。

モルヒネの増量により痛みの訴えは消失していました。
検討課題は、最近出現するようになった「譫妄」と、増悪してきた「不安」にどのように対処すれば良いか でした。

まず「譫妄」の原因については、薬剤性のものが考えられ、薬物の整理が提案されています。
また「不安」の増悪に対して、薬物療法が提案されています。

介護施設での問題点は、
・交代勤務のスタッフでは、薬物療法の効果判定は難しい
・急に強くなった症状に対するレスキュードーズの使用が難しい
 (看護スタッフがいない夜間には、レスキュードーズを使用するか否かの判断が出来ない、判断できても注入できない)

そのために、どうしても薬物療法を行うためにはオーバードーズ気味に薬物を使用せざるを得なかった。

この施設は「看取り」「パーキンソン病」等の研修を実施しており、これまでも多数の利用者の方々を看取ってきた実績があります。
しかしALSの方の入所は初めてであり、呼吸苦などあまり経験したことのない症状に対するスタッフの不安を私たちが少し甘く見ていた感があります。施設スタッフの不安が、本人の不安増悪の一因になった可能性はあると考えています。
今後は、施設スタッフにも自宅で行っているように「事前に予想される症状について理解してもらう」ための説明が必要と考えました。

【まとめ】
・介護施設に入所するALS患者が増加してきている。(←平成25年度は5人)
・頻回の吸引が必要でない限り、日常的なケアは介護施設で実施可能。
・レスキュードーズの使用が難しい。症状が抑え込むような積極的な薬物療法を行うことを検討する。
・施設スタッフの不安を軽減するためのアプローチが重要

院内症例検討会(平成25年10月)

  • 2013.10.11 Friday
  • 15:45
当院は複数の医師(常勤 4人、非常勤 3人)、看護師(常勤 18人、非常勤 2人)、療法士 5人等で在宅医療(訪問診療、訪問看護、訪問リハ)、レスパイトケア入院を提供しています。
 
複数のスタッフで関わりを持つ場合、スタッフによって患者さんへの関わり方に対する考えが異なることがあります。みんなで同じ方向を向いて患者さんを支えるために、院内スタッフでカンファレンスを行っています。
またカンファレンスは、困難事例では他のスタッフにアドバイスを求める場としても活用しています。
 
【問題点】
ALS患者の呼吸苦を緩和するためにどのような介入をすべきか?
 
50歳代 男性 筋萎縮性側索硬化症
 
当法人からの訪問診療、訪問看護、訪問リハビリを行っている。
他の事業所から訪問看護、多数の事業所より訪問介護を受けている。
発症後 7年、気管切開・人工呼吸管理を開始してから5年が経過している。
人工呼吸器は開放式回路を使用。酸素療法は行なっていない。

現在も、1時間程度は呼吸器からの離脱は可能。
これまでに一度だけ、Auto-PEEPを疑う症状を認め、バックアップの呼吸数を減らし、吸気時間を減らすなどの人工呼吸器の設定変更を行っている。
ヘビースモーカーであったが、肺気腫と診断されたことはないとのこと。

最近、「息が吐けない感じがする」との表現で呼吸苦を訴える頻度が増加している。
人工呼吸器を外して欲しいとの訴えがあり、外すと楽になることがある。
カフアシスト・スクィージングを行なうと呼吸苦は一過性に軽快しているが、短時間で再び呼吸苦を訴えている。
呼吸数は14回/分、吸気時間 1秒(IE比 1:3.3)、PEEP 5hPaであった。
スクィージングを行なってうと胸郭が硬い印象はある。

「吐きにくい」との訴えであったので、PEEPを5hPaから2hPaへ変更。
人工呼吸器を外して欲しいとの訴えは消失しているが、呼吸苦の訴えは持続しカフアシスト・スクィージングをして欲しいとの訴えが頻回にある。

このケースは、ヘビースモーカーであったことから肺気腫を合併している可能性はある。
肺気腫では強い陰圧をかけると肺胞が虚脱してしまうためにカフアシストを使用しても、十分に吐けていない可能性もある。
また肺気腫では、肺のコンプライアンスが高いため肺が十分に収縮せずにに息を吐き出せていない可能性もある。


肺活量が良い状態で、気管切開・人工呼吸管理を開始すると初期にファイティングなどで気道内圧が高い時期を経験するケースがある。
このようなケースは人工呼吸管理開始してから数年間経過すると、肺の線維化のためか気道内圧が高くなることがある。
しかしこのケースは、肺気腫のために肺のコンプライアンスが高くなっている可能性があり、そのために気道内圧が高くなっていない可能性がある。


【対応】
呼吸器の原因は特定できていないが、肺気腫合併により肺のコンプライアンスが高く、呼気時の収縮性が低くなっているために「吐けない」との訴えが出ている可能性を考える。
確認のために胸部CTを行うことを提案している。
また治療としては、「PEEPをかける」「呼気時間を十分にとる」「酸素療法を併用する」となると考えられる。
このなかで
PEEPをかける」「呼気時間を十分にとる」はすでに行なっており、「酸素療法を併用する」を行なう予定としている。

院内症例検討会(平成25年09月)

  • 2013.09.13 Friday
  • 15:45
当院は複数の医師(常勤 4人、非常勤 3人)、看護師(常勤 18人、非常勤 2人)、療法士 5人等で在宅医療(訪問診療、訪問看護、訪問リハ)、レスパイトケア入院を提供しています。

複数のスタッフで関わりを持つ場合、スタッフによって患者さんへの関わり方に対する考えが異なることがあります。みんなで同じ方向を向いて患者さんを支えるために、院内スタッフでカンファレンスを行っています。
またカンファレンスは、困難事例では他のスタッフにアドバイスを求める場としても活用しています。

先月分は、内容に問題があったので、ブログにはアップしていません。

【問題点】
コーケン・ネオブレス ダブル・サクションとアモレ SU1を導入するか否か?

50歳代 男性 筋萎縮性側索硬化症

当院からの訪問診療は行っておらず、レスパイトケア入院のみ利用している。
発症6年で、TPPVを導入している。
現在、体幹・四肢は全く動かすことができない。頭頚部でスイッチ操作をし、コミュニケーションエイドを使用している。
家族の介護負担軽減のために、コーケン・ネオブレス ダブル・サクションとアモレ SU1を使用している。
レスパイトケア入院時には、トラキオソフト・エバック・ランツ付にカニューレを交換している。

自宅療養中は、1日の吸引回数は15回/日程度であったが、入院中は35-52回/日へ増加している。吸引を希望されても、何も吸引されなかったことが多かった。

当院が訪問診療しているトラキオソフト・エバック・ランツ付カニューレを使用している患者では、夜間の吸引が必要なケースはなかった。そのためコーケン・ネオブレス ダブル・サクション導入の必要性を感じていなかった。
またコーケン・ネオブレス ダブル・サクションを使用していた患者で、レスパイトケア入院後トラキオソフト・エバック・ランツ付カニューレへ交換した場合、特に吸引回数が増加することはなかった。

【対応】
このケースは、本人の心理的問題で吸引を希望している可能性は否定できないが、コーケン・ネオブレス ダブル・サクションとアモレ SU1を試用してみることも必要であると考えた。
次回、入院時に試用を考慮することした。
(但し、気管カニューレの種類を増やすこと事態は、安全管理上好ましいことではないと考えている。)

院内症例検討会(2)(平成25年07月)

  • 2013.07.12 Friday
  • 15:50
2、3例目です。

【問題点】
NPPVを使用されているケースで、鼻梁部の皮膚トラブルに有効な手段はないか?

40歳代 女性 筋萎縮性側索硬化症
 NPPV開始後、2年3ヶ月。24時間使用。離脱すると、SpO2はすぐに低下し始める。

70歳代 男性 筋萎縮性側索硬化症
 NPPV開始後、1年10ヶ月。夜間のみ連続使用(8時間)。

入院すると、双方のケースともに鼻梁部の皮膚トラブルは増悪している。
回路外れアラームやエアリークの音が気になるとの訴えが強く、自宅よりもマスクをきつく締めているためと考えられた。
また、頻回にマスク・フィッティングを希望されるために、良いポジショニングでのフィッティングが行なえずに、応力が働く頻度が高いことも原因と考えられた。
自宅では、アラームが鳴っても家族は気にせずに、ボタンを押さずに自然に消えるのをまっていたとのこと。
レスパイトケア入院中にトータルフェイスマスクの使用も試みたが装着感の問題により使用できなかった。


【対策(予防)】
_J向ではなく、上下方向でのフィッティングの徹底
▲戰襯箸鬚弔韻燭泙泙如微調整を行なわず、一度ベルトを外してから調整を行なう
フィッティングと同時に頭の位置確認も行なう。
NPPV導入早期からマスクのローテーション(フルフェイス ⇔ トータルフェイス)を行い、トータルフェイスマスクにも慣れてもらう。

【対策(治療)】
〜甦から治療開始
貼付剤を使用(クッション性を期待して2枚以上貼ると、圧迫の原因になるので1枚のみとする)

【残された問題】
夜間の人手が少ないときに、頻回のマスク・フィッティングに対応できない可能性が高い。
一過性にリーク量が増加した時に、実際には回路は外れていないが、回路外れアラームが鳴ることが問題の一つであり、入院中はアラームの設定を変更することも、考慮する必要があると考えている。

院内症例検討会(1)(平成25年07月)

  • 2013.07.12 Friday
  • 15:45
当院は複数の医師(常勤 4人、非常勤 3人)、看護師(常勤 18人、非常勤 2人)、療法士 5人等で在宅医療(訪問診療、訪問看護、訪問リハ)、レスパイトケア入院を提供しています。

複数のスタッフで関わりを持つ場合、スタッフによって患者さんへの関わり方に対する考えが異なることがあります。みんなで同じ方向を向いて患者さんを支えるために、院内スタッフでカンファレンスを行っています。
またカンファレンスは、困難事例では他のスタッフにアドバイスを求める場としても活用しています。

今回は定例のものに加えて、褥瘡委員会からも症例提示の希望があったので、2題になりました。まず、1例目。

【問題点】
ALSの方の独居生活を支えるために我々が出来ることは何か?

50歳代 女性 筋萎縮性側索硬化症

上肢は機能全廃。
椅子やベッドからの立ち上がりは可能。屋内は歩行可能。
食事は介助を受け、普通食を摂っているが、梨状窩に残留を認めている。
胃瘻造設しているが、使用していない。
構音障害はあるが、会話は全て聞き取れる程度。
NPPVは練習中。一日20分程度使用。

当院より訪問診療を行っており、2つの訪問看護ステーションより週10回の訪問看護・リハビリテーションを行っている。
また日常生活は、介護が必要な部分があり、週30時間の訪問介護を受けている。
介護保険は利用限度額を超えており、月数万円の自己負担が発生している。

子供は3人。一人が近隣に住み、介護にあたっている。一人は遠くで家庭を持っており、週1回、短時間の訪問に留まっている。
経済的には安定している。
身体障害者(1級申請中←2級)、要介護5

【本人・家族の希望】
本人は現在の生活に(漠然とした)不安を持っているが、自宅での生活を継続し、自宅での看取りを希望している。
TV導入は希望していない。
構音障害の進行に対して、言語療法導入を希望されている・

家族は自宅での生活を継続して欲しい。TV導入し、長生きして欲しい。
TV導入した場合、療養場所は考えていない。自宅で療養したとしても、今以上の家族介護は行えないと考えておられる。

【問題点の整理】
)椰佑麓宅での療養継続を強く希望しているが、家族は協力困難。
 家族の意向は、あまり明確になっていない(現実との整合性が取れていない)。
NPPV導入を行っているが、将来的な療養場所を制限することに繋がらないか?
上肢障害のため、緊急用コールが使用できていない。
げ雜酳欷院医療保険を利用した言語療法導入は困難な状況。

【対応】
)椰佑麓宅での療養継続を強く希望しているが、家族は協力困難。
 家族の意向は、あまり明確になっていない(現実との整合性が取れていない)。
 本人の意向を尊重する。
 現在の障害程度であれば、現状のサービスで良いと考えられる。
 家族が現実を直視していない可能性があり、そのために療養場所等を決めかねている可能性が高く、本人、家族、ケアマネジャー、保健師、在宅医で具体的プランを示し、方向性を決めるためのカンファレンスを近々に予定。

このケースは、本人の意向が決まっているケースであったが、決まらないケースも多い。
その際に、「決めることを本人・家族に迫ることは、良くないのではないか」「全てが決まったいない場合でも、決まった範囲内で、行うことが出来る選択肢の提示は行わなければならない」との意見も出ていました。

NPPV導入を行っているが、将来的な療養場所を制限することに繋がらないか?
NPPVを使用している人が長期間入院可能な医療機関は限定されている。
当院の診療している地域では、TVを使用している人よりもNPPVの方が受け入れ医療機関が限定されている現実もある。
「我々は、TV導入には慎重に、インフォームド・コンセントを行なっているが、安易にNPPV導入を行なっているのではないか」との意見も出されている。
以前は、NPPV導入は生命予後を延長しないとのレポートが多かったが、最近では6-19ヶ月程度、生命予後を延長するとのレポートが出てきている。
本例では、将来的にTV導入を行なわない予定であることから、NPPV導入に関して、もう一度、検討する必要があるとのことになった。(※)

上肢障害のため、緊急用コールが使用できていない。
足でスイッチを押せるように、セッティングの変更を行うこととした。
コール先が、別居している家族であり、日中を留守にしていることが多いので、実効性はない可能性が高い。経済的に余裕があるので、警備会社などの緊急コールの使用も考慮。

げ雜酳欷院医療保険を利用した言語療法導入は困難な状況。
介護保険は利用限度額を超え、自己負担が出ている。
 →クリニックからの訪問リハビリテーションでは、全額自己負担になる。
医療保険では、すでの2つの訪問看護ステーションが入っている。
 →当法人の訪問看護ステーションからの訪問リハ(訪問看護)を行なう場合には、3つ目の訪問看護ステーションからの訪問リハ(訪問看護)になるために、不可能。

「構音障害の評価、スイッチ類のセッティングのために短期的に自費で言語聴覚士を導入し、他のステーションの訪問看護師へスイッチするプランで調整をしてみては?」との意見が出されており、近々に開催されるカンファレンスで調整を行なうこととした。

(※)当院で診療を行い、死亡もしくは気管切開・人工呼吸管理へ進んだ108人のALS患者を対象にNPPV導入時、死亡時もしくはTVへの変更時の状態(肺活量、SpO2、EtCO2、ALSFRS-R)を見直し、NPPV導入時にはどのようなインフォームド・コンセントを行なうべきかを検討することとした。

前回の検討会のケースは、約2ヶ月間自宅での療養を送られ、主介護者の息子さんも少し落ち着いて来られた。そしてサービス提供者側のアドバイスも聞き入れる余裕が出てきた様子であった。
食事制限の開始、ヘルパーの役割も変更が計画されていた矢先に心不全ために、紹介元病院へ再入院されている。

院内症例検討会(平成25年06月)

  • 2013.06.14 Friday
  • 15:45
当院は複数の医師(常勤 4人、非常勤 3人)、看護師(常勤 18人、非常勤 2人)、療法士 5人等で在宅医療(訪問診療、訪問看護、訪問リハ)、レスパイトケア入院を提供しています。

複数のスタッフで関わりを持つ場合、スタッフによって患者さんへの関わり方に対する考えが異なることがあります。みんなで同じ方向を向いて患者さんを支えるために、院内スタッフでカンファレンスを行っています。
またカンファレンスは、困難事例では他のスタッフにアドバイスを求める場としても活用しています。

【問題点】
男性介護者を援助するために、我々が気をつけておく必要があるのはどのような点か?

80歳代 女性 脳梗塞後遺症、結腸癌術後の症例

当院より訪問診療を行っており、当法人の訪問看護ステーションより訪問看護を行っている。
訪問看護は、主に排便コントロールのために入っている。
ヘルパーは1日2回、オムツ交換のために入っている。週2回、デイサービスを利用している。

50歳代の息子さんが、仕事を辞め介護に当たっている。
息子さんは独身。これまで食事を作るなどの家事をしたことがない。
孫が近隣に住んでいるが、介護には参加していない。
別居の娘が一人おり、週1回程度、患家を訪れているが介護は行なっていない。

経済的には、本人の年金と預貯金を取り崩しながら生活している。
介護保険の枠を超えてのサービス利用は不可能と話されている。

脳梗塞発症後、約5ヶ月経過している。
左完全麻痺、左半側空間無視がある。近時記憶障害は軽く、日常生活では気がつかない程度。
食事は、セッティングすれば一人で摂ることが出来る。
移動は全介助。車椅子座位は可能。

背部、肩の痛みを認めている。
2時間程度、同じ姿勢で座っていると臀部の痛みを訴えるようになる。

排便コントロールは不良。

体重は増加傾向だが、本人は現在の食事でも不満があり、空腹を訴えることが多い。

【他の部署からの情報、意見】
息子さんは、介護しながら短時間で働ける職場への再就職を考えておられたが、実際に介護を行なうようになってから、予想より介護量が多く再就職は困難と考えておられる。
当初、息子さんが考えていたよりも経済的な負担も大きなものになっていると考えられる。

【対応】
痛みに関しては、鎮痛剤を積極的にしようしていくこととした。

体重増加は、座位時の臀部の痛みや移乗動作への負担の原因になっていると考えられ、体重減量を指導していく必要があると考えられる。
現在の息子さんが準備する食事は、店屋物や買って来るお惣菜が中心になり、栄養のバランスも悪くカロリーも高い。義歯を使用できていないので、噛み切れず丸呑みしている状況。
食事は短時間で終了し、満腹感がない。

息子さんは、本人の体重を減らすことが必要だとは理解されているが、本人がもっと食べたいと言うと食べ物を出してしまうとのこと。

ヘルパーはオムツ交換を中心に行っているが、オムツ交換を息子さんが担当し、食事を作る方をヘルパーに担当して貰ってはどうか、低カロリーで満腹感の出る食事や、食事に時間がかかるような食物形態を考えてみてはどうか、との意見が出されている。

男性介護者の場合、社会から孤立することが多いので、息子さんの社会性を保つ工夫が必要である。「男性介護者の会」などへの参加を勧めてみてはどうかとの意見も出されている。

退院後、約1ヶ月であり、息子さんも無我夢中で介護を行なっている印象があり、少し慣れてきた時期に中長期的な視点から、ケアプラン再考が必要であり、その時期にケアカンファレンスを開催することとした。

【前回の振り返り】
前回の検討会のケースは、現在も経口摂取を継続されている。
食べやすい食物形態の指導も行っているが、自宅では自分の好みの食事を摂っておられる。
レスパイトケア入院時は、食べやすい(誤嚥しにくい)食事形態での食事を行なって頂く予定にしている。

院内症例検討会(平成25年05月)

  • 2013.05.10 Friday
  • 15:45
当院は複数の医師(常勤 4人、非常勤 3人)、看護師(常勤 18人、非常勤 2人)、療法士 5人等で在宅医療(訪問診療、訪問看護、訪問リハ)、レスパイトケア入院を提供しています。

複数のスタッフで関わりを持つ場合、スタッフによって患者さんへの関わり方に対する考えが異なることがあります。みんなで同じ方向を向いて患者さんを支えるために、院内スタッフでカンファレンスを行っています。
またカンファレンスは、困難事例では他のスタッフにアドバイスを求める場としても活用しています。

50歳代 男性 気管切開・人工呼吸管理を受けているALS症例

当院より訪問診療を行っており、定期的にレスパイトケア入院を利用されている。
胃瘻を介した経管栄養を行なっている、介助下で経口摂取もされておられる。
徐々に嚥下障害が増悪してきており、これまでの食物形態では誤嚥が認められるようになっている。

本人の「食べたい気持ち」は強いことは確認できている。
 これまでも誤嚥性肺炎を数回認めている。
 気管カニューレやエバックから食物が吸引されることもあり、 誤嚥性肺炎のリスクが高いことは何度となく説明を行っている。
 しかし病識の欠如のためか、誤嚥性肺炎が死に至る病態であることを理解・納得されているようには見受けられない。

 主介護者(妻)は、自宅では本人の希望に沿って、食事介助を行なっているが、誤嚥性肺炎のリスクに関して、どのように思っておられるのかが確認できていない。

 舌の動きが悪く、食物の送り込みは不十分である。
 嚥下も悪く、食物が喉頭蓋谷や梨状窩へ残っている。
 これまでは、食事とゼリーの交互嚥下を行なうことで、食物が吸引されることが少なかったが、最近は交互嚥下を行なっても食物が吸引されることが多くなっている。
 現在の嚥下機能では、ゼリー食が適当な食物形態と考えられる。
 ミキサー食やゼリー食は食べた気がしないとのことで、拒否されることが多い。
 味覚より食感を重視されている。

 嚥下しやすい姿勢などの指導を行なっているが、本人が受け入れないために行なえていない。

【問題点】
このまま経口摂取を継続して良いか?

【他の部署からの情報、意見】
これまでのレスパイトケア入院中は、食事中や食後には、咽ることが多く吸引が必要であった。
その時にはその時点で食事を中止することが多かったが、次の食事からは再び食べたがっている。
介助する看護師としては誤嚥性肺炎のリスクが高いことから、レスパイトケア入院中は、経口摂取は制限(全面的な中止ではなく、嚥下しやすい食物形態のものへ限定)したいと考えている。

「本人・家族が誤嚥性肺炎のリスクを理解・納得しているのであれば、特に経口摂取に制限を設ける必要はないのではないか」や「無理を押して経口摂取を継続していることでもあり、誤嚥性肺炎を併発した場合にはバックアップ病院へ入院での加療を依頼することは心苦しい」との意見も出されている。

【対応】
本人・家族の明確な意向が示されていない現状では、重症肺炎になった場合には、バックアップ病院へ入院加療を依頼せざるをえないと考えられる。
そのためにレスパイトケア入院中は、食事の制限(現在の嚥下機能で誤嚥のリスクが少ないと判断される食物形態のものに限定)することとした。
自宅での食物形態に関しても、本人・ご家族に説明・指導を行っていくこととした。

妻の気持ちを確認することとした。
その上で、今後の経口摂取をどのように考えるかを再考することとした。

・レスパイトケア入院を利用している方には、当院で準備している意思伝達装置を試用のために貸し出すこととした。そのために必要な書類などを準備している。
難病情報センター等の公的機関に、当該患者が試用できるような貸し出し用機器の有無を確認したところ、現在は準備されておらず、今後も準備する予定はないとの返答であった。を置けば、当院を利用していなくとも試用できる方が増えるのではないか、との意見も出されていた。

院内症例検討会(平成25年04月)

  • 2013.04.12 Friday
  • 15:45
当院は複数の医師(常勤 4人、非常勤 3人)、看護師(常勤 18人、非常勤 2人)、療法士 4人等で在宅医療(訪問診療、訪問看護、訪問リハ)、レスパイトケア入院を提供しています。

複数のスタッフで関わりを持つ場合、スタッフによって患者さんへの関わり方に対する考えが異なることがあります。みんなで同じ方向を向いて患者さんを支えるために、院内スタッフでカンファレンスを行っています。
またカンファレンスは、困難事例では他のスタッフにアドバイスを求める場としても活用しています。

60歳代 女性 気管切開・人工呼吸管理を受けているALS症例

遠隔地に居住されておられ、当院からは訪問診療、訪問リハビリテーションは行っていない。
これまでは手指でピエゾスイッチを使用し、意思伝達装置を使用していた。
筋力低下が進行し、手指でのスイッチが押せなくなっている。
ケアマネジャーよりレスパイトケア入院中にスイッチの変更、フィッティングを依頼されている。

ピエゾスイッチは使用位置を手指から顔面(前額部)へ変更し有効に利用できている。

当初、入院中に光ファイバースイッチの調整を行い、有効に使用できていた。
翌日以降から、光ファイバースイッチの使用を拒否されている。

【問題点】
どのような対応をとれば、光ファイバースイッチを導入できたのか?
在宅スタッフによる試用・導入を行いやすくするために、当院の機器の貸出が出来ないか?

【他の部署からの情報、意見】
これまでも数回、レスパイトケア入院を利用しており不安症状の強い方であった。
新しいことを始める際には、特に不安を訴えることが多かった。
ただ、今回の入院はこれまでも精神的に安定されている印象を病棟スタッフは持っていた。
光ファイバースイッチを使用することを拒否した理由は不明である。
一つの可能性として、信頼関係の構築されていない当院の療法士が導入したことが原因ではないかと考えた。

【対応】
在宅スタッフ(理学療法士)は長期に渡って患者との関係が構築されており、また光ファイバースイッチを貸出を行なえば、在宅で導入が可能なレベルに達していると考えられる。
光ファイバースイッチの貸出を考慮。
但し、無条件に高額な機器を貸し出すことは困難であり、貸し出すための条件を考えることとした。

また難病情報センター等の公的機関に、当該患者が試用できるような貸し出し用機器を置けば、当院を利用していなくとも試用できる方が増えるのではないか、との意見も出されていた。

院内症例検討会(平成25年02月)

  • 2013.02.22 Friday
  • 09:00
当院は複数の医師(常勤 4人、非常勤 2人)、看護師(常勤 18人、非常勤 2人)、療法士 4人等で在宅医療(訪問診療、訪問看護、訪問リハ)、レスパイトケア入院を提供しています。

複数のスタッフで関わりを持つ場合、スタッフによって患者さんへの関わり方に対する考えが異なることがあります。みんなで同じ方向を向いて患者さんを支えるために、院内スタッフでカンファレンスを行っています。
またカンファレンスは、困難事例では他のスタッフにアドバイスを求める場としても活用しています。

40歳代 女性 24時間NPPVを使用しているALS症例
【問題点】
発症後約6年経過しているが、本人・家族が疾患受容が出来ていない。
本人は病識欠如の可能性がある。
本人・家族(複数)の介護に対する考え方が異なり、サービス量を増やすことが困難。
今後も、さらに症状の進行が予想され、介護量のサービス提供量との乖離が広がると考えられる。

【対応】
現時点ではサービス量は増やすことが困難であるから、介護量を減らすことを計画。
・排便方法の変更
 排便介助が、介護者の内の一人にとって大きな負担となっていたため。
・ポジショニングの簡便化
 本人が受け入れ困難な可能性が高いが、すべての介護者の負担となっている。
・経口摂取の制限
 NPPVマスクを外すとSpO2が低下する。完全に中止するのではなく、医療職が訪問している時に経口摂取を行うように変更。

療養場所の変更を考慮


60歳代 女性 筋緊張性ジストロフィー例
【問題点】
独居であり、キー・パーソンが不在。
認知機能障害が疑われる。
筋緊張性ジストロフィーは介護保険における特定疾病ではなく、介護保険が利用できずケアマネジャーが不在。
当院は、約4年間、訪問診療を行っている。

気道感染症のため入院。
屋内での移動にも支障を認めているが、本人は自宅での療養再開を希望。

本人の自宅で過ごしたいとの希望をかなえるための介護プランを計画している。
しかしケアマネジャー不在のため、プランニング自体に支障があった。
また単身の生活を支えるだけの、サービス量が確保できなかった。

それでも、本人の意向を尊重し、自宅へ退院。

しかし介護的問題で、頻回にクリニック、訪問看護ステーションに連絡があった。

退院後約1ヶ月目に介護的に破綻し、以後長期入院している。

我々が、出来ることはなかったか?
この退院、自宅療養は必要であったか?

【結論(?)】
今回の退院時には、多くの居宅サービス提供者は自宅療養は困難だと考えていた。
また担当医は、認知機能障害を疑っていた。
本人、病院主治医は自宅療養可能と判断し、また病院主治医は認知症はないと判断していた。

介護破綻が予測されたので、破綻時に再入院が可能な環境は整えて置く事とした。

この自宅への退院は必要であったか否かを院内で話し合った結果、
「本人が、現在の状況を受容するためには必要な退院、自宅療養であった」と考えることとなった。

新患カンファレンス(平成25年01月)

  • 2013.01.18 Friday
  • 15:45
新患カンファレンスも、院内症例検討会と同様に諸般の理由から中断しておりましたが、今月から再開しています。

毎月第3金曜日、15時45分から約1時間のスケジュールで開催しています。

昨年12月から1月18日までに開始した在宅患者さんが対象でした。

新患カンファレンスでは、病歴などは配布資料を参照しながら「医学的問題」「心理的問題」「社会的問題」について、1ケースにつき数分以内に担当医がプレゼンテーションしていきます。その後、他の医師、看護師、保健師、療法士等から意見が出され、その患者の当面の治療の方針を決定し、他のスタッフも確認します。

途中で、診療方針を変更する必要が出てきた場合には、院内の症例検討会にかけるか、急ぐ場合には、臨時でスタッフを招集してケースカンファレンスが始まります。

今月は11ケースでした。
・筋萎縮性側索硬化症 2人 (うちNPPV 1人)
・レビー小体病 4人(パーキンソン病 2人、認知症を伴うパーキンソン病 1人、レビー小体型認知症 1人)
・筋緊張性ジストロフィー 1人(NPPV)
・脳出血後遺症 2人
・レノックス・ガストー症候群 1人(キャリーオーバー例)
・肺癌 1人

医学的に問題になった点は、
・パーキンソン病の運動症状コントロール困難
 経過や現在の筋力から考えて、患者・家族の希望する運動機能まで改善することが難しいと考えられました。
・パーキンソン病の運動症状以外の症状に対する治療
 抑鬱症状や有痛性ジストニアなどに対する治療が積極的に行われておらず、患者のADLに影響を与えている可能性があり、治療の余地があると考えられました。
・肺癌患者の疼痛コントロールが困難であり、もう少し早くご紹介いただければ、当院・患者ともに、苦労が少ないと考えています。

心理的に問題になった点は、
特徴的な認知症患者はなく、脳出血後遺症の患者さんで失行・失認が認められており、その内容を今後、サービスに入る介護スタッフ等に説明してく必要性があると考えられました。

社会的に問題となった点は、
介護者が2人以上同居している患者は2人(1人は高齢の両親、1人は配偶者と娘さん)、配偶者が一人で介護している患者が7人、独居患者が2人であり、家族介護力が乏しい患者がほとんどであった点です。また経済的に困窮している患者さんも少なくなく、コストパフォーマンスの高いサービス導入を心がける必要がありました。

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